フランスの自賠責保険と被害者救済制度【交通事故関連】

(この記事は約 2 分で読めます。)

日本では重過失減額制度という被害者救済制度が存在していますが、諸外国ではどのようになっているのでしょうか?

この記事では、フランスの”自賠責保険制度”や”交通事故被害者の救済”がどのようになっているか?を紹介したいと思います。

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フランスでは2段階で被害者を救済する

入院している男性と見舞う女性

フランスでは、1985年に「バダンテール法」と呼ばれる被害者の保護に重きを置いた法律が制定されています。その法律では”自動車事故による被害者の過失”について以下のように規定されています。

「許しがたい過失で、それが事故の唯一の原因である」と認められる場合に限り被害者の過失が問題になる。

これだけでも日本の自賠責保険法よりも被害者側の視点にたった法律ですが、フランスの場合これだけに留まりません。

仮に被害者に許し難い過失が認められた場合でも、以下のいずれかに該当する場合には賠償を受けることが可能になっています。

  • ①16歳未満
  • ②70歳以上
  • ③事故によって80%以上の永久的身障者と判断された場合(年齢は関係ありません)
まだまだ責任能力が無い若年者や既に現役を退いた高齢者を守り、更に今後の生活に支障をきたすほどの傷害を負った者には国がきっちりと補償を出す、という制度になっています。

日本の場合は、訴訟に発展すれば被害者側の過失が大きく問題となり、そのせいでかなりの賠償金額が減額されることが有ります。そういう観点から考えると、フランスの被害者救済制度は日本のものと比べても、被害者有利の状況にあると言って差し支えないかと思います。

裁判に訴えた事によって損害賠償額が小さくなる危険性

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フランスはどんな保険で被害者を補償しているのか?

フランスでは、自動車事故の被害者は以下の3種類の保険を通して補償されます。

POINT①①日本の自賠責保険に相当する保険で加害者が負担するべき賠償責任を補償

この保険では、「加害者に過失が無い」もしくは「被害者に許し難い過失が有る」場合には補償されません。

POINT②②義務的賠償保険によって「乗客・歩行者・自転車走行車」を補償

この保険では「乗客・歩行者・自転車走行車」は過失の有無に関係なく補償されます。

POINT③③搭乗者傷害保険で有責な自動車走行車を補償

最後に、賠償責任が有る加害者側の傷害は日本で言う任意保険によって補償されています。

交通事故

従ってフランスの場合、自動車事故で傷害被害者は立場に関係なくこの3種類の保険のいずれかで補償されることになるわけです。特に注目すべきは日本のように「過失」が問題視されることが無い所ですね。

日本では「条件付無過失責任」及び民法722条2項で定める「過失相殺」の規定が採用されているので、事故の加害者ですら被害者の些細な過失まで糾弾して、保険金を如何に値引きしようか考えます。(実際には加害者側の保険会社がやるわけですが・・・)

自動車保険は本質的には”自動車事故の死傷者を守るべきもの”ですから、現在の日本の自賠法はその趣旨とは若干ずれているのかもしれませんね。その他の国の自賠法も興味があれば御覧ください。

台湾の自賠責保険と日本の自賠責保険の違い

なお、フランスの保険業法改正について興味のある人は、以下の資料も合わせて読んでみて下さい。

フランスにおける保険事業関係法改正の動向-生命保険文化センター

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