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損益計算書

損保会社の財務諸表分析ということで何回かにわけて解説・分析をしていますが、今回は保険会社に特有の損益計算書項目である保険引受費用と資産運用費用について見ていきましょう。

保険引受費用と資産運用費用は何れも損保会社の損益計算書上、経常費用の内訳として登場します。前回の記事の「損益計算書の経常収益」の対になる部分です。

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保険引受費用とは

保険引受費用には以下のようなものが一般的に含まれています。

  • 正味支払保険金
  • 損害調査費
  • 諸手数料及び集金費
  • 満期返戻金
  • 支払備金繰入額
  • 為替差損
  • その他保険引受費用

では特有なものについて個々に内容を見ていくこととしましょう。

正味支払保険金

正味支払保険金は、損害保険会社が契約者に支払った保険金と他の保険会社へ再保険で支払った保険金の合計額から、再保険で回収した保険金を控除したものです。具体的には

「正味支払保険金」=「元受正味保険金」+「受再正味保険金」-「回収再保険金」


という計算式になります。再保険については別途解説をします。⇒「再保険の解説記事はこちら

損害調査費

損害調査費には、損害調査の業務や保険金支払の業務で付随的に発生する従業員給与や家賃等、さらに税金などの金額が含まれています。

諸手数料及び集金費

保険の営業のために必要となった手数料料を整理する勘定で具体的には代理店手数料、保険仲立人手数料、募集費(営業職員が契約活動を行った場合に支払う歩合給)、集金費(団体扱保険で保険料集金に関する契約を締結している団体に支払う保険料集金事務費や営業職員が集金活動を行った場合に支払う歩合給等)、受再保険手数料の合計から出再保険手数料を控除した額が計上されています。

満期返戻金

積立保険等で保険約款に基づいて保険期間の満了に伴い支払った満期返戻金が計上されています。

支払備金繰入額

支払備金(詳細は貸借対照表の解説参照)の当期繰入額の合計が戻入の額を上回った場合に差額が計上されます。

資産運用費用とは

資産運用費用として計上されるものには以下のようなものがあります。

  • 金銭の信託運用損
  • 有価証券売却損
  • 有価証券評価損
  • 有価証券償還損
  • 金融派生商品費用
  • 為替差損
  • その他運用費用

保険会社の行う資産運用については1回目で解説しており、基本的にはここで登場する勘定科目は資産運用収益で登場した勘定科目と裏表となるものです。

つまり、資産運用の結果、例えば有価証券を売却して益が出たのであれば、資産運用収益の方で有価証券売却益として登場しますし、逆に売却して損が出たのであれば、こちらの資産運用費用に有価証券売却損として登場することになります。

資産運用収益の解説のときに登場はしていないものとして、金融派生商品費用というものがあります。保険会社や銀行等の金融機関はデリバティブ取引というものを日常的に行っています。

デリバティブ取引については詳しく説明することは趣旨がズレてしまうのでここでは省略しますが、至極簡単に説明すると、金融商品(株式、債券、預貯金・ローン、外国為替など)のリスクを低くしたり、リスクを覚悟でハイリターンを追及する手法として登場されたのがデリバティブです。

日常生活で聞いた事がありそうなデリバティブの商品としては、商品ファンド(商品先物)や株価連動型預金(株価指数オプション)でしょうか。他にも色々あり個人が手を出すのは結構難しい内容となっています。

そんなデリバティブ取引での損益、つまり、みなし決済により時価評価したデリバティブ取引の評価損益及び期中の実現損益を計上することになります。これらの損益を合計して、益が出た場合は「金融派生商品収益」に、損が出た場合は「金融派生商品費用」に計上されます。

営業費及び一般管理費・その他経常費用

損保会社の計上費用には営業費及び一般管理費という項目が登場します。これは一般の事業会社の営業費及び一般管理費と同じようなものです。要は登場する損益区分が違うということですね(損保会社では経常損益、事業会社では営業損益)。

その他経常費用も内容としては支払利息や貸倒引当金繰入額、貸倒損失など事業会社にも登場するのと同じようなものが計上されることになります。

特別損益については損保会社特有のものもありますが、貸借対照表の解説で合わせて書く事とします。

まとめ

以上のように1回目と2回目で損保会社の損益計算書の特殊性について簡単な内容解説とともに書いてきましたが、それでもなかなか一般の事業会社とは全然構成要素が違うため難しい所もあるかもしれません。

次回は損保会社の貸借対照表についてみていきましょう。

損保会社の財務諸表の見方「貸借対照表編①」~資産の部~

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