給与所得者(サラリーマン)の基礎収入の考え方【死亡及び後遺症の場合】

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会社勤めをしていて給料をもらっている方(サラリーマン)が、交通事故に遭遇し死亡若しくは後遺障害を負った場合、損害賠償金を計算する上での基礎収入はどのように考えることになるでしょうか?

民間給与実態統計調査によると、平成23年時点での給与所得者は約5,427万人となっており、日本人が約1億2千万人いることからすると、実に45%の方が給与所得者です。つまり、交通事故に遭う方が給与所得者である可能性も高いということです。

給与所得者が交通事故に遭うということは、もはや人ごとではないので、ここで基礎収入の考え方を見ていきましょう。

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原則は事故前の給与額が基礎!

給与所得者の場合、原則として事故前の給与額を基礎収入の計算する上での基礎となります。この給与額というのは、賞与や歩合給、手当等も含んだ税込み金額(税金や保険料は控除する前)となります。

なお、大手企業や公務員はボーナスは年ごとに大きな変動はないでしょうが、中小企業は年によって様々です。そこで判例の中には、中小企業でも年間で最低2ヶ月のボーナスが出るのは通常と考えて、ボーナスを認定する例もあります。

原則的な扱いは上記の様になりますが、以下で特殊な場合を紹介していきます。なお、基本的に死亡の場合も後遺障害の場合も扱いは同様となります。

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収入が少ない方の場合

新卒の方や比較的若い方の場合、給与水準は一般的に低い事が多いです。給与水準が低い場合には、収入額が賃金センサスの平均額を下回っていることがあります。

そこで新卒の方の様に、将来的に給与は随時上昇していくことが予想される場合には、収入額が事故時点で賃金センサスの平均賃金を下回っていたとしても、賃金センサス平均賃金を基礎収入とすることがあります。

判例紹介

①固定時21歳の新聞社勤務男性の後遺障害事例。学歴や給与制度などを考慮した上で、賃金センサス(男性・大卒・全年齢)平均賃金の1.5倍を基礎収入とし、定年後67歳までの7年間は平均賃金を基礎収入とした例。

②大卒上場企業社員の27歳の死亡事例。事故前年の給料は平均賃金より約90万円低いが、学歴や給与規定などを考慮した上で、賃金センサス(男性・大卒・全年齢)平均賃金程度の収入を得られる可能性は高いため、平均賃金を採用した例。

将来の昇給が見込まれる場合

公務員や大企業の場合は明確な給与規定があり、規定に沿って定期的に昇給がされる場合は確実に昇給が見込まれます。そこで、昇給基準が確立されている様な場合には基礎収入を計算する上でも考慮されることになります。

一方で中小企業や個人商店の場合は、そもそも給与規定が無い会社や、あったとしても規定通りに昇給しないこともあります。そこで、基本的には中小企業の場合は昇給を認めることはあまりない傾向にあります。

ただ、中には「機械的に事故後の被害者の推定稼働期間1年につき5%昇給すると推定する」といった判例もあるので、中小企業や個人商店の従業員の場合でも、駄目もとで請求するのもいいかもしれませんね。

判例紹介

固定時33歳の給与所得者の後遺障害事例。過去の賃金に照らし、退職金分も含めた上で、67歳まで賃金センサス平均賃金を基礎収入とした例。

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定年制度のある場合

公務員や大企業勤務者であれば、一般的に勤務先には定年制度があります。しかし、定年後は年金生活になるか働いたとしても収入が減るのが一般的なので、定年制度があるにも関わらず、稼働期間(通常は67歳)まで事故時の収入が得られると考えることは合理的ではありません。

そこで定年制度がある場合は、定年までは事故時の収入を基礎として計算をし、定年以降は賃金センサスの年齢別平均賃金や、定年時点の収入から一定割合減額した金額を基礎とする事が多いです。

判例紹介

①銀行員の後遺障害事例。定年までは症状固定時の推定収入を基礎収入とし、定年後67歳までは賃金センサス(男性・大卒・年齢別60〜64歳)平均賃金を基礎収入とした例。

②32歳地方公務員の死亡事例。昇給を前提に基礎年収を計算したが、定年後は大卒平均収入に準拠するのはおかしいとして、賃金センサス平均賃金を基礎とした例。

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退職金がある場合

長くお勤めをしていると、会社から退職時に退職金が支払われることがあります。そこで、退職金が支払われることが確実な企業に勤務していたものの、交通事故により死亡若しくは後遺障害を負い退職した場合、支給された退職金と定年まで勤務していれば得られたであろう退職金の差額が、逸失利益として認められることがあります。

判例紹介

財団法人勤務の後遺障害の事例。65歳定年時の退職金と実際の支給額との差額として326万円を逸失利益として認めた例。

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