(この記事は約 7 分で読めます。)
突然ですが、車の故障・トラブルのうち、よく起こるトラブルはどれか分かりますか?
ドライブの前に、毎回1から10まで車を点検するのは現実的では有りませんよね。
しかし、起こる可能性の高いトラブルに対しては、やはり事前に点検しておくべきでしょう。
もちろん「日常点検」に該当する項目は、点検しておきましょうね。
そこで今回は、起こりやすい車のトラブルをランキングにしてみました。
また、高速道路上でよく起こるトラブルもランキング化しているので、遠出をする人はこちらもチェックしてくださいね。
なお、当記事の「車の故障・トラブルランキング」は、JAFの約200万件を超えるロードサービス出動件数のデータを基に作成しています。
車の故障・トラブルランキング
さっそく、車の故障・トラブルランキングを見てみましょう(平成28年4月~平成29年3月のデータ)。
順位 | 内容 | 件数 | 構成比 |
---|---|---|---|
1位 | バッテリー上がり | 742,379 | 32.13 |
2位 | タイヤのパンク | 375,969 | 16.27 |
3位 | キー閉じ込み | 206,331 | 8.93 |
4位 | 落輪 | 179,283 | 7.76 |
5位 | バッテリー破損 | 126,232 | 5.46 |
表中の「構成比」とは、各トラブルの件数が全件数に占める割合を表しています。
ちなみに、平成28年度中に発生したトラブルの件数は、2,310,224件です。
バッテリーに関するトラブルが、1位と5位にランクインしていて、全体の約40%を占めています。
それだけバッテリートラブルが起こりやすい事が分かりますね。
また、ここ10年のランキングを見てみると、上位4つのトラブルは常にTOP4にランクインしています。
「タイヤのパンク」と「キー閉じ込み」が2位・3位を取り合う程度の変化です。
つまり、自動車のトラブルに遭う時は、「バッテリーのトラブル」、「タイヤのパンク」、「キー閉じ込み」、そして「落輪」のいずれかのトラブルである可能性が高いという事です。
そのため、これら4つのトラブルの内容や対処法、並びに点検方法は知っておいた方が良いでしょう。
続いて、TOP5の故障・トラブルの月別の発生件数推移(平成28年4月~平成29年3月)についても見てみましょう。
1位 バッテリー上がり~特に冬場に注意~
バッテリー上がりは、12月・1月に発生件数が増加している事が分かります。
つまり、冬場に起こりやすいトラブルと言えます。
そもそもバッテリー上がりとは、簡単に言うと、バッテリーに蓄電された電力が全て消費された時に発生し、エンジンがかからなくなってしまうトラブルです。
冬場にバッテリー上がりが頻発する理由は、気温の低下によってバッテリー自体の容量が低下してしまうからです。
その状態で電力を大量に消費するエアコン等を使用すると、バッテリー上がりが起こりやすくなるんですね。
冬場はバッテリー上がり以外にも色々なトラブルが発生しやすい時期なので、バッテリーも含め、しっかりと車を点検するようにしましょう。
なお、エアコンを使用し続ける夏場もバッテリー上りが起こりやすいです。
6月から8月にかけて発生件数が増加していますよね。
冬だけでなく夏も用心してください。
2位 タイヤのパンク~夏にパンクしやすい?~
タイヤのパンクは、7月~9月にかけて多発しています。
夏に発生しやすいトラブルと言えますね。
路面温度の上昇も一要因と考えられますが、やはりタイヤの整備不足が最大の原因です。
しかも、8月はお盆・夏休みが重なるので、帰省・ドライブによる長距離走行をする機会も多くなります。
当然、整備不良のタイヤであればパンクする確率も高まります。
そのため、夏場に限らず、長距離走行の前には「空気圧チェック」や「ひび割れの有無」など必ずタイヤの点検をするようにしましょう。
もちろん、普段から気を付けておいた方が良いのは言うまでもありません。
その他、夏場に起こりやすいトラブル及びやっておいた方が良いメンテナンスもチェックしておきましょう。
3位 キー閉じ込み~車のカギは必ず身につけよう~
そもそもキー閉じ込みとは、車内に車のカギを放置したまま施錠してしまう事を言います。
インロックとも呼びます。
発生件数の推移を見ると、7月・10月・12月に多発し、2月が少なめ、という傾向にあります。
が、キー閉じ込みは人為的ミスが原因なので、時期や季節などが関係しているとは考えにくいです。
そのため、常日頃から注意するとともに、車のカギを身につけて乗車・降車をするようにしましょう。
4位 落輪~積雪・凍結する時期に多発~
グラフを見ると、落輪は12月から2月にかけて多発している事が分かります。
冬場ですね。
既に気付いている人も多いと思いますが、原因は路面の積雪・凍結です。
雪の降る地域や路面が凍結する地域に住んでいる人は、ノーマルタイヤではなく、チェーンを搭載しておくかスタッドレスタイヤへ履き替えるなどの対応が必要です。
最近は、異常気象によって変な時期に雪が降る事も珍しくないので、当然の雪に備えて、スプレー式タイヤチェーンを車に積んでおくと安心できるかもしれませんね。
5位 バッテリーの破損・劣化~夏から冬にかけて注意~
バッテリーの破損や劣化は、夏から冬にかけて多発している事が分かりますね。
どちらかと言うと、これらの時期に”発生しやすい”のではなく、”気付きやすい”と言った方が正しいのかもしれません。
さきほども書いたように、夏や冬はバッテリー上がりが発生しやすい時期でしたよね。
この時期が到来するまでは、機能が低下した状態でも何とか役割を果たせていたバッテリーも、夏・冬を迎えると同時に限界に達してしまうのです。
最初は「バッテリー上りかな?」とロードサービスを呼ぶのですが、到着したスタッフにバッテリーが破損又は劣化している事を伝えられ、そこでようやく気付く事が多いんです。
バッテリーに関するトラブルは、最も多く発生するトラブルです。
そのため、時期に関係なく点検するようにしましょう。
高速道路でのトラブルランキング
続いて、高速道路上でのトラブルランキングも紹介しておきます(平成28年4月~平成29年3月のデータ)。
順位 | 内容 | 件数 | 構成比 |
---|---|---|---|
1位 | タイヤのパンク | 27,217 | 34.07 |
2位 | ガス欠 | 10,184 | 12.75 |
3位 | 事故 | 6,879 | 8.61 |
高速道路では「タイヤのパンク」が最も多いトラブルです。
ここ10年でTOP3に変化は有りませんので、高速道路を利用する時は、この3つのトラブルが要注意という事になります。
2位の「燃料切れ」を防ぐには、高速道路に入る前の「給油」が不可欠です。
また、燃料がギリギリになるまで走行するのではなく、余裕を持って「SA・PA」で給油するようにしましょう。
渋滞に巻き込まれると、燃費が悪化し、燃料の減りが早くなってしまう事も有りますからね(ガソリン代節約のコツ)。
3位の「事故」を防ぐには、安全運転を心掛ける事、そしてSA/PAで適度に休憩を取る事が重要です。
また、タイヤがパンクして事故を起こしてしまう事も考えられるので、車を運転する前にはタイヤの点検(その他の点検も)も行っておきましょう。
【参考】ロードサービス(JAF)の出動件数の年間推移
平成17年度から平成28年度までの、ロードサービス(JAF)の出動件数の年間推移を見てみましょう。
ロードサービスの出動件数は減少傾向に有るようです。
10年前と比べると50万件ほど減少しています。
減少しているとはいえ、直近でも200万件の出動件数を記録しているので、如何に車のトラブルが多発しているかが分かりますね。
しかも、このグラフはJAFのロードサービスのみを対象としているので、自動車保険のロードサービスなどの件数も加えれば、もっと多くのトラブルが発生していると考えられます。
まとめ~車の点検及びロードサービスの付帯が大事~
頻発する車の故障・トラブルがどういった内容か分かりましたね。
これらのトラブルを未然に防ぐには、やはり日頃からの点検が重要です。
バッテリーやタイヤを点検するついでに、エンジンルーム内や足回りのチェックも同時に行っておきましょう。
ただ点検をしてもトラブルが発生する事もあります。
不測の事態に備えて、JAFや自動車保険のロードサービスを付帯しておきましょう。
専門家からのコメント
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
コメント
記事の内容の通り、ロードサービスの依頼の多くは、パンク、バッテリー上がりです。これらについては、バッテリー、タイヤを車検時に新品に交換する事である程度回避する事が可能です。
パンク、バッテリー以外の内容としては、エンジンチェックランプ点灯です。メーカーにより多少の違いはありますが、配管みたいな黄色いランプです。走行していて、エンジンチェックランプが点灯し、異音や振動が発生したというケースでも出動する事があります。走行は可能ですが、そのままの状態で走行し続ける事は望ましくない為、修理工場へ速やかに車両を入庫する事が望ましいです。
キーのとじ込みもありますが、それと合わせて多いのがキーの紛失です。高齢なドライバーに多く、「車の鍵を無くしてしまった。困っている」とご連絡頂く事がありますが、ロードサービスではどうする事も出来ません。キーを無くした場合、現場でキーを作るしか方法がなく、対応可能な業者も限られている為、非常に高額な費用負担が発生します。特に最近の車はスマートキーが主流な為、そうなると更に高額です。
そうした時にも困らない様にスペアキーを1つ持っておくのが望ましいでしょう。
関連記事をチェックする