【専門家監修】日常レジャー目的で契約して、こっそり通勤で車を使った場合、保険金は出るのか?

この記事を読むのに必要な時間は約 15 分です。

使用目的と違う乗り方をして事故を起こした場合、自動車保険から保険金は出るの?

自動車保険の契約時に決定しなければならない「使用目的」。

そのため「契約後に契約内容と違う車の使い方をするとどうなるのか?」という疑問を抱く人もいるはずです。

中には、嘘をついて保険料の安い”日常レジャー目的”で契約しちゃおう、なんて邪な考えを持っている人もいるかもしれません(後述しますが絶対ダメですよ)

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「日常レジャー」「通勤通学」「業務用」など使用目的による保険料の違い

そこで今回は、使用目的の「契約内容」と「使用実態」が一致していない場合に「保険金が支払われるのか・支払われないのか」について紹介します。

以下の2つのパターンに分けて見ていきますね。

  1. 使用目的通りに乗っていたが、たまたま違う乗り方をした時に事故に遭った
  2. 使用目的に全く沿っていない乗り方をして事故に遭った

本題に入る前に、まず簡単に使用目的「日常・レジャー」「通勤・通学」「業務用」の定義・違いについて解説します。

その方が話を理解しやすいと思うので。

なお、記事後半では、使用目的の決め方や変更などについても触れていますので、気になる人はチェックしてください。

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使用目的「日常・レジャー」「通勤・通学」「業務用」の定義・違い

基本的に、どの自動車保険にも3つの使用目的が設定されています。

日常・レジャー」「通勤・通学」「業務用」の3つです。
それぞれの定義は以下の通りです。

  • 通勤・通学・・・年間を通じて月平均で15日以上通勤・通学に車を使用する場合
  • 業務用・・・年間を通じて月平均で15日以上業務に車を使用する場合
  • 日常・レジャー・・・「通勤・通学」及び「業務用」に該当しない場合

* 保険会社によっては、上記に加えて「週5日以上」という条件が設定されている場合があります。

なお、使用目的を2つしか設定していない保険会社も有ります。

たとえば、ソニー損保では「家庭用」と「業務用」の2つだけです。

業務用の定義は上に示した内容と同じです。

そして、家庭用は業務用に該当しない場合に選択します(通勤・通学に使用する場合も家庭用に含まれます)。

こうした「自動車保険の使用目的」の定義を踏まえて、本題の「使用目的と違う乗り方をした場合の事故」について見ていきましょう。

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たまたま使用目的と違う乗り方をして事故に遭った場合

具体例を挙げると、普段は「日常・レジャーの使用目的」で乗っていたが、たまたま「通勤」の為に車を使用した時に事故に遭ったような場合です。

このような場合には、使用目的の目安となる「年間を通じて月15日以上通勤・通学に使用していたかどうか」が判断基準となります。

月15日未満の通勤・通学使用なら、契約内容が「日常・レジャー」でも補償される事になります。

つまり、厳密に使用目的通り車に乗っていなくても、他の目的での使用日数が「判断基準となる15日未満」なら補償の対象になるわけです。

使用目的に全く沿っていない乗り方をして事故に遭った場合

一方、使用目的に全く沿っていない乗り方をしている場合はどうなるのでしょうか。

これは、以下のように更に3つに分けて考えなければなりません。

  1. 契約自体は正しいが選択した使用目的が間違っている場合
  2. 契約時に告知義務に違反している場合
  3. 契約期間中の通知義務に違反した場合

①契約自体は正しいが選択した使用目的が間違っている場合

1つ目は、業務使用で契約したが通学にもっぱら使用している場合や、通勤・通学使用で契約していたが「休日しか」車に乗らないような場合です。

使用目的の補償範囲は別々にあるわけではなく、業務使用がその他の使用目的を包括しており、通勤・通学使用が「日常・レジャー使用」を包括している関係にあるので、このような場合には補償されます。

使用目的の補償範囲イメージ図

ただ保険料金は業務使用が一番高く、その次が通勤・通学使用、一番安いのが日常・レジャー使用となっています。

そのため、補償されると言っても、このような使用実態に合わない保険内容は保険料の無駄なので、契約内容を変更するべきです。

②契約時に告知義務に違反している場合

2つ目は日常・レジャー使用で契約したが、契約当初から通勤・通学に月15日以上使用しているような場合です。

結論から言うと、この使用実態での事故は補償されない可能性が高いです。

というのも、保険会社は保険約款に告知義務を記しており、使用目的は告知事項に含まれています。

そのため、このような契約は「告知義務違反」に該当し、保険金が支払われない場合があるんです。

告知義務違反

契約者は保険契約の際に保険会社に告知事項を正確に申告しなければいけません。

これを「告知義務」と言います。

告知事項には「記名被保険者名・車両番号や型式・使用目的・他の現存契約の有無・前保険期間や契約内容・前年における事故状況」などが有ります。

告知義務を怠った場合には、保険会社に保険契約を解除される可能性があり、また契約解除前の事故に対して保険金が支払われない事があります。

③契約期間中の通知義務に違反した場合

3つ目は、「契約期間中に使用目的の変更が生じたのに、契約内容を変更せずに事故を起こした場合」です。

たとえば、日常・レジャー使用で契約していたけど、通勤に月15日以上使うようになったが、使用目的を変更しなかった場合です。

このような「契約期間中の危険の増加(事故の可能性が高くなる)」は保険会社に申告して、契約内容を変更しなければいけません。

これは契約者の通知義務です。

告知義務と同様に保険約款に記載されています。

危険の増加を申告せずに事故に遭った場合には、通知義務違反」として保険金が支払われない可能性があるので注意が必要です。

なお、使用実態が「業務用→通勤・通学又は日常・レジャー」又は「通勤・通学→日常・レジャー」となった場合、つまり『危険が減少』した場合には通知義務はありません。

が、先ほども書いたように保険料の無駄なので、契約内容の変更を行いましょう。

通知義務違反

保険契約期間中に「契約内容が変わり、危険が増加する場合」には速やかに契約している保険会社にその変更を伝えなければいけません。

これを「通知義務」と言います。

例えば、住所や今回の話の中心である使用目的など告知事項の変更があった場合です。

通知義務を怠った場合には通知義務違反となり、保険会社は契約の解除もでき、契約変更前の事故に関しては保険金を支払わない事があります。

告知義務違反と通知義務違反で「保険金を支払わない事がある」としましたが、これは契約者に故意や重大な過失があった場合に「保険金を支払わない」と保険約款に記載しているからです。

故意または重大な過失によって遅滞なく同項の通知をしなかったときは、解除に係る危険増加が生じた時から解除がなされた時までに発生した事故による損害または傷害に対しては、当会社は、保険金を支払いません。
(引用:イーデザイン損保保険約款より)

故意や重大な過失の判断は難しい話ですが、保険料を安くしようとして虚偽の申告をした場合や、危険が増加した変更があった事を知りながら通知しなかった場合等が該当すると思われます。

使用目的の選択を誤ってしまうと、いざ事故に遭った際に任意保険から一切補償されなくなる可能性が有ります。

必ずご自分の現在の状況に合った使用目的を選択しましょう!

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使用目的の決め方

ここまで説明してきたように「使用目的」を間違えると保険金が支払われない可能性があります。

そのため、自動車保険の契約時又は契約中においては、正しい使用目的を選ばなければなりません。

ただ、どのように使用目的を決めればよいか、迷っている人もいるでしょう。

そこで以下では「正しい使用目的の決め方」について説明します。

まず前述した「使用目的の定義」を参考に、以下のような流れでどの使用目的に該当するのかをチェックしましょう。

  1. 「業務用」に該当するか
  2. 「通勤・通学」に該当するか
  3. 「業務用」及び「通勤・通学」に該当しない場合は「日常・レジャー」に該当

このように補償範囲の広い使用目的から車の使用実態が当てはまるかどうかを考えると、スムーズに使用目的を決定する事ができます。

ただし、ややこしいのが「通勤・通学」です。

どのようなケースが「通勤・通学」となるのかが分かりにくい部分があるからです。

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パート・アルバイトも通勤・通学に該当

パートやアルバイトに行く為に車を使用する場合も「通勤(・通学)」に該当します。

ただし、使用する日数が通勤・通学の基準未満なら「日常・レジャー」となるので注意してくださいね。

ちなみに、子供が毎日通学に車を利用している場合は「(通勤・)通学」に該当するので、この点も併せてチェックしてください。

最寄り駅までの送迎は保険会社によって異なる

自宅の最寄り駅まで夫や子供を送迎している人はけっこういるのではないでしょうか?

このようなケースが「通勤・通学」に該当するかは、保険会社によって異なります。

たとえば、三井ダイレクト損保では最寄駅までの送迎は「通勤・通学」に該当します。

一方、セゾン自動車火災保険や損保ジャパンでは、最寄駅までの送迎は「通勤・通学」に含みません。

このように保険会社によって取り扱いが異なるので、送迎で車を使用している人は必ず契約している保険会社に確認するようにしてください。

契約途中でも使用目的を変更できる?

「使用目的を間違って契約していた」「日常・レジャーで契約していたけど、契約期間の途中で車通勤をするようになった」など、契約期間の途中に使用目的の変更が必要な場合があります。

もちろん、契約期間の途中でも変更は可能です。

今回紹介したように放置していると、いざ事故を起こした時に保険金が支払われない可能性があるので、速やかに使用目的の変更手続きを行ってください。

手続き自体は、各保険会社のカスタマーセンターへの「電話1本」で済みます。

なお、変更前と変更後の使用目的によって、保険料の返還又は支払いが発生します。

変更手続きをする際に、その金額についても確認するようにしてくださいね。

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まとめ

今回は自動車保険の使用目的について紹介しました。

重要なのは、正しい使用目的で契約する事です。事故の際に保険金が支払われない可能性があるためです。

そのため、使用目的の定義・決め方を参考にして、どの使用目的に該当するのかを今一度チェックしてくださいね。

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専門家によるコメント(山﨑 裕佳子)

山﨑 裕佳子(Yukako Yamazaki)

通関士として貿易会社に勤務の後、メーカー、銀行など様々な仕事を経験。2019年に2級FP技能士、AFP取得。その後、FP会社にて記事の執筆や監修を経験し、フリーランスとして独立。

コメント

自動車保険の契約時には、車の使用目的の告知義務があります。

1.業務使用 2.通勤・通学使用 3.日常・レジャー使用 の3つから選ばなければなりません。

保険の補償範囲は 1>2>3 です。例えば、2.の通勤・通学使用目的で保険加入をしている方が、休日にレジャー目的で運転し、事故にあった場合は、補償対象となり保険金がおりますので問題ありません。

逆に、3.の日常・レジャー使用目的として保険加入している方が、通勤途上で事故にあった場合、日常的に通勤に車を使っていたと認められてしまうと、補償の対象外となってしまう可能性があります。(日常的とは、通勤に車を平均月15日以上使っていた場合)

走行距離と事故率の相関関係から保険料設定は1>2>3となっています。

保険料を抑えるために、本来の使用目的以外で保険契約を行ってしまうと、万一のときに、補償対象外で保険金が下りない可能性がありますので注意が必要です。

特に気を付けたいのは、途中で使用目的が変わったときです。

例えば、転勤で電車通勤から車通勤になった、またはその逆の場合もあるでしょう。車の使用目的が変わった際には、保険会社へ連絡を忘れないようにしてください。

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