(この記事は約 4 分で読めます。)
自動車保険では契約者に「告知義務」と「通知義務」が課せられています。
“告知”及び”通知”と聞いて「保険会社に何かを伝える必要が有る」というニュアンスは掴めているのではないでしょうか。
ただ具体的に何が告知事項及び通知事項に該当するのか?と聞かれると、首を傾げてしまう人が多いと思います。
また、告知義務違反や通知義務違反でどのような処分がくだされるのかを知らない人もいるかもしれません。
そこで今回は、自動車保険の告知義務と通知義務について解説したいと思います。
自動車保険を契約する上で非常に重要な項目なので、しっかりと理解しておきましょう。
自動車保険の告知義務と通知義務とは
告知義務とは、自動車保険の契約の際に告知事項を保険会社に正確に申告しなければならないとするものです。
一方、通知義務とは、通知事項に変更が生じた際に保険会社に遅滞なく通知しなければならないとするものです。
では、何が告知事項及び通知事項に該当するのでしょうか。
その具体的な内容について見ていきましょう。
告知事項と通知事項
まず告知事項について紹介しますね。
告知事項に該当する主な項目は以下の通りです。
- 契約車両を主に運転する人(記名被保険者)
- 運転免許証の色(ゴールド・ブルー・グリーン)
- 使用目的(業務使用・通勤通学・日常レジャー)
- 契約車両を主に使用する場所(都道府県など)
- 前契約の情報(等級・事故の有無など) 等
5項目を列挙しましたが、これら以外にも告知事項に該当する項目はたくさんあります。
基本的に、保険料算定に関わる項目は告知事項に該当します。
続いて通知事項について見ていきましょう。
主な通知事項は以下の通りです。
- 契約車両の登録番号(ナンバープレート)・用途・車種の変更
- 使用目的の変更
- 主な使用地の変更 等
告知事項同様、これら以外にも通知事項に該当する項目はあります。
基本的に変更に伴って保険料が増減する項目が通知事項に該当します。
なお、保険会社によってどの項目を保険料算定にあたって考慮するかのが異なるので、告知事項及び通知事項も若干異なります。
たとえば、年間走行距離です。
パターンとしては以下の3つがあります。
保険料への反映方法 | 告知事項 | 通知事項 |
---|---|---|
走行距離を考慮しない | 非該当 | 非該当 |
前年の走行距離 | 該当 | 非該当 |
予想年間走行距離 | 該当 | 該当 |
このように告知事項及び通知事項は保険会社によって若干異なるので、注意してくださいね。
ちなみに、告知事項・通知事項には契約時の申込書や保険証券などに「★」などのマークが該当項目に付されているので、確認しておきましょう(保険会社によってマークは異なる)。
告知義務違反・通知義務違反となれば最悪の場合契約解除
告知義務・通知義務は契約者に課された義務なので、これに違反すると、契約が解除される事があります。
また、事故を起こした場合には保険金が支払われない事もあるので注意が必要です。
なお、通知義務に関しては、遅滞なく申告したとしても、契約範囲外の内容であれば契約を解除される場合があります。
たとえば、8ナンバーの特種用途自動車に乗り換えた場合などです。
告知事項違反に関する注意点~虚偽申告はNG~
告知事項の申告の際は、特に「正確性」に注意するようにしてください。
間違いが無いように記憶だけで自動車保険の申込をするのではなく、手元に車検証と保険証券などを用意して1つ1つ確実に申告していきましょう。
また、保険料を安くする目的(どんな目的でもダメですが)で、ブルー免許なのにゴールド免許で申告したり、車通勤をするのに使用目的を日常レジャーで申告するなど、虚偽の申告はNGです。
なお、告知事項の申告漏れについてはあまり気にする必要はありません。
保険法の改正によって、契約に関わる重要な事項の申告が「自主申告義務」から「質疑応答義務」へ変更されたからです。
以前は、文字通り契約者(申込者)が自ら告知事項を申告し、それを受けて保険会社は契約を締結する状況でした。
保険会社は受け身の状態であり、仮に告知事項に漏れがあっても、それは契約者の責任となっていたのです。
そのため、申告漏れによる告知義務違反が散見されていました。
しかし、法改正によって、保険会社が告知事項を契約者(申込者)に質問する形態に変化しました。
つまり、契約者はただただ質問に答えるだけで良くなったのです。
これはインターネットで契約するダイレクト型自動車保険でも同様です。
もちろん、質問に対する回答を間違ってしまうと告知義務違反となります。
やはり正確性が重要という事になりますね。
通知義務違反に関する注意点
一方、通知義務に関しては、以前と同様、契約者発信のままです。
保険会社に通知事項の変更の有無を逐一確認させるのは合理的ではありませんからね。
そのため、どの項目が通知事項になっているのかを把握し、変更が有った場合には速やかに保険会社に申告するようにしましょう。
なお、通知事項の変更によって保険料が安くなる場合には、申告しなかったとしても違反にはなりません。
たとえば、車通勤から電車通勤になったけど、使用目的を保険料の高い「通勤通学」から保険料の安い「日常レジャー」に変更しなかった場合などです。
ただ通知義務違反にならなかったとしても、保険料を無駄に支払う事になるので、やはり申告して契約内容を変更すべきです。
また、通知事項ではなくても、保険料が安くなるケースもあるので、同居の家族構成や車の使用実態などに変化が有った場合は積極的に契約内容の変更を行うようにしましょう。
まとめ
告知義務・通知義務に限った話ではありませんが、自動車保険の契約内容を隅から隅までしっかりチェックする事が大切です。
保険契約時と保険金支払時の損保の顔は月の表と裏のようにまったく違うのです。
つまり契約時にはより優しく、保険金支払時にはより厳しい顔になるのです。
そのため保険契約時には適当に契約する事なく、少しでもわからない点・不可解な点があればしっかりと質問し消化することが大切になってきます。
関連記事をチェックする