【専門家監修】自動運転の事故の責任は誰?「自動運転」と「自動車保険」

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近年自動化運転による走行が非常に注目されています。

直近では、自動運転に近い技術の内容が様々な自動車会社から提案されており、進化を続けている状況です。

その技術の一つとして、センシング技術があります。

センシング技術とは、センサーと呼ばれる感知器などを使用して様々な情報を計測して数値化する技術の総称のことを言います。現在この技術を利用して、様々な先端技術の開発が行われています。

センシング技術については、詳しくは『次世代センサ協議会のレポート』をご覧ください。今後、様々な分野でさらに活用が期待できる重要な技術だと認識できるでしょう!

センシング技術により、自動車を運転している時に、一般道路や、高速道路等でボーッと運転をしていても、自動ブレーキシステムで、即座にブレーキをかけてくれます。

「あわや衝突する!!」と言う状況の際にも、確実にブレーキを自動的にかけてくれますので、事故の増加を防ぐ技術になると思われます。

経済産業省と国土交通省は、2020年7月から滋賀県大津市及び兵庫県三田市にて中型自動運転バス実証を行っています。

この実証実験では、自動運転中は必ず運転手が同乗する状態となり、すぐに手動に切り替えることができるように整備されていると言う状況で、試験運行が実施されてます。

今後、実証実験が進み、さらに技術開発が進むことで、自動運転が当たり前になる時代が来るでしょう!

出典:経済産業省(近畿経済産業局)

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自動運転と自動車保険

チューリッヒでは、自動運転が実装された際に、手動、半自動、完全自動化の段階を5段階に分け、事故責任の所在につき、見解を示しています。

詳しくは『チューリッヒの自動運転の事故に対する考え方』をご覧ください。

ここでは、自動運転レベル3.4については、従来の運行供用者責任を基本としつつ、例えばシステムの不具合などを原因とする事故の場合は、保険会社が「自動車メーカーなどに対して求償していくこと」が妥当であると言われています。

出典:チューリッヒHP

この考えは、国土交通省が発表した『自動運転における損害賠償責任に関する研究会』を基に作成されています。

自動運転のレベルと事故責任(自賠責法)の考え


ベル
車の監視者
技術レベ
技術レベル 利用例 事故責任(自賠責法)
運転支援 レベル1 ドライバー 運転支援 自動ブレーキ ドライバー
レベル2 ドライバー 特定条件下での自動運転 車線を維持しながら前のクルマに付いて走る ドライバー
自動運転システム レベル3 システム(作動継続が困難な場合は運転者)システム 条件付き自動運転 システムがすべての運転タスクを実施するが、システムの介入要求などに対してドライバーが適切に対応することが必要 ドライバー
レベル4 システム 特定条件下における完全自動運転 限定地域での無人自動運転移動サービス ドライバー
レベル5 システム 完全自動運転 常にシステムがすべての運転タスクを実施 今後議論の必要有り

引用:チューリッヒHP国土交通省レポート

このように、レベル4、レベル5と言う『完全自動運転化』まで定義されていますが、レベル5の全てが自動化運転で実装されている状態については、責任者については、協議されている状態となっております。

現在のチューリッヒでの、自動化運転アシストに関する保険として、「チューリッヒの自動ブレーキ割引」があります。自動ブレーキで、先進安全装置のうちAEBと言う「自動ブレーキ装置」を実装する車両に対して、自動ブレーキ割引が適用となります。

まだまだ少ないですが、このように、少しづつ先進のシステムに対して、各保険会社でも保険を導入を行っている段階です。

出典:次世代センサ協議会(自動運転とセンシング技術)

出典:国土交通省ホームページ

 

 

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東京海上日勤の自動運転に対応した保険

東京海上では、自動運転中の事故に対して、保険料負担を軽減する発表をしました。

ドライバーの操作が不要な『レベル3自動運転中』に発生した事故であれば、自動車保険の保険金を支払った場合でも、更新契約の保険料負担が増えないよう取り扱うとのことです。

従来の保険では、事故で保険金を支払うと翌年度は保険料が上がる仕組みになっていましたが、自動運転の場合は運転手が責任を感じづらく、翌年度の値上げを考慮して保険加入をためらう事が想定される為、安心感を高めて、自動運転の普及を後押しするのが狙いのようです。

またこの取り扱いは「2021年4月以降に始期を迎える全てのノンフリート自動車保険を対象」に追加の保険料負担無く、適用される見込みです。

出典:東京海上日勤プレスリリース2020年11月11日

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日本政府の自動運転への取り組み

国土交通省と経済産業省では、自動走行分野において世界をリードし、社会課題の解決に貢献するため、2015年2月に自動走行ビジネス検討会を設置し、取り組みを推進しています。

日本政府の取り組みとしては、下記のようなものがあります。

1.早ければ2022年度頃には廃線跡等の限定空間で遠隔監視のみの無人自動運転サービス開始

2.政府目標(2020年に無人自動運転移動サービスの実現や2020年度中の高速道路でのトラック後続無人隊列走行技術の実現等)達成に向けて、実証実験実施

3.世界初!自動運転車(レベル3)の型式指定を実施

自動運行装置を備えた車両の『世界初の型式指定』

2020年11月11日、国土交通省は、本田技研工業株式会社から申請のあった車両(通称名:レジェンド)に対し、自動運行装置を備えた車両としては世界初の型式指定を行いました。

型式指定車とは、自動車完成時に製造工場で検査することで、陸運支局等への持ち込み検査を省略することが可能となっている種類の自動車のことです。

今回型式指定を行った自動運転車に搭載された自動運行装置(名称:Traffic Jam Pilot)は、高速道路での渋滞時における運転者の運転操作の負荷を軽減することを目的に、周辺の交通状況を監視するとともに、運転者に代わって運転操作を行い、車線内の走行を維持しながら前走車に追従する装置で、今後、搭載された自動車が市場にて販売される日も遠くはないでしょう!

出典:国土交通省(自動走行の実現に向けた取組報告と方針)

出典:国土交通省(報道・広報)

近年の自動運転の事故について

運輸事故の調査を担う米運輸安全委員会(NTSB)は2020年2月25日、2018年に運転支援システムの作動中に起きた米テスラ車の衝突死亡事故の原因を特定したと発表しました。

テスラの自動運転システムに過度に依存した運転手の注意散漫が事故原因とする一方、車内のカメラを使ってドライバーの視線を監視するシステムの不備も一因だったと結論付けられました。

出典:日経新聞(2020年2月26日)

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日本での自動運転事故

神奈川県綾瀬市の東名高速で、渋滞の中を米テスラの多目的スポーツ車(SUV)がゆっくり走行していた所、車間距離や速度の調整、衝撃を和らげる自動ブレーキがある「運転支援システム」は作動状態でしたが、眠気に襲われ目を閉じた約1分後、車は勝手に加速し、別の事故で路上に止まっていたバイクに衝突してしまったという事故です。

2018年4月に起きたこの事故は多重事故に発展し、1人が死亡、2人が重軽傷を負い、検察は男の居眠りが事故原因として自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で起訴しました。

男の弁護側は居眠りや事故状況について認める一方「運転支援システムの故障によって事故が起きた」と主張し、ドライバーと車の運転支援システムのどちらに責任があるかが争点になりました。

『レベル3』の自動運転中に事故が起きた場合も、一般的な事故と同様に警察が捜査してドライバーの過失などが調べられます。

現在、国の保安基準では、自動運転中の様子を事後に検証しやすいように、走行時のデータを記録したり、ドライバーが居眠りなどをしていないかを監視したりする機能の搭載を義務付けています。

出典:日経新聞(2020年5月24日)

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まとめ

近年、高齢者による交通事故、地方における移動手段不足、物流業における運転手不足といった社会的な課題の解決策として、「自動運転」が注目されています。

また2025年高速道路での完全自動運転を実現することを目標に、現在、研究・開発が進められいます。

さらなる技術革新によって、自動車保険の形も変わっていくことが予想されます。自動運転により、安全な運転が実現し、それにより保険も安価になれば、消費者にとってプラスになっていくでしょう!

出典・参考レポート:日本損害保険協会(自動運転について)

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ファイナンシャル・プランナー(FP)からのコメント

山﨑 裕佳子(Yukako Yamazaki)

通関士として貿易会社に勤務の後、メーカー、銀行など様々な仕事を経験。2019年に2級FP技能士、AFP取得。その後、FP会社にて記事の執筆や監修を経験し、フリーランスとして独立。

<保有資格>通関士AFP

コメント

最近よくニュースなどで耳にすることの多い「自動運転」という言葉。自動運転の技術はレベル0~レベル5までの6段階に区分されています。レベル1~2の車は、いわゆる運転支援システムというものが搭載されていて、今やポピュラーなものになりつつあります。

日本ではホンダが2021年3月にレベル3の車を限定発売しています。レベル3とは、一定の条件下において自動運転をしてくれるというものです。

自動車保険の保険料については、運転支援システム搭載車や、自動運転車についての保険料を優遇するなどの措置も始まっているようですので、新規に車を購入する際、これらの車を選択肢とする方は多いかもしれません。

しかし、安全システム搭載車を過信しすぎるのは時期尚早かもしれません。安全システム搭載車であっても、実際に事故を起こしてしまった事例もあります。

運転支援システム搭載車、自動運転車であっても、自動車保険に加入して、しっかりとした補償をつけておく必要があるでしょう。

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