外国人の基礎収入は在留資格の有無などで基礎収入も変わる

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交通事故に遭遇したのが日本人であれば基礎収入の算出の仕方は問題ないのですが、被害者が外国人であった場合はどのように算出すればいいでしょうか??

重要となるのは在留資格の有無となります。

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在留資格がある場合

被害者である外国人に日本での永住権がある場合や、在留資格(ビザ)の更新が確実に認められる様な立場の場合は、通常の日本人との違いは国籍だけとなるので、この場合は日本国籍の方と同じ様に基礎収入を算出していくことになります。

永住権がある場合

永住権がある場合や日本人の配偶者の場合は、基本的に問題なく日本人と同様の計算がされます。

判例紹介

①ネパール人が日本の証券会社の副社長として試用期間であった事例で、永住者であるので日本人と同様の水準で逸失利益を計算した例。

②フィリピン人の女性の事例で、内縁関係にある日本人男性との間に生まれた子供を育てる為に日本に永住する意思があり、実現可能性も高かったため、日本の賃金センサス平均賃金に基づき基礎収入を計算した例。

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学生や研修中の場合

被害者が学生や海外から日本に研修で来ているような場合は、在留資格として学生ビザや短期就労ビザなどあります。こういった場合は基本的にビザの期間は日本で働いていることが想定されますが、研修が終わると元の国に戻ることが想定される場合が多いです。

判例紹介

①中国籍の新聞販売奨学生の事例で日本の大学へ進学することが想定されるため、卒業までの5年間は事故時の収入を基礎にし、卒業後は3年程度は日本で働くと考えて賃金センサスを基礎とし、その後は中国で働く事になると考え日本の年収の3分の1相当額を基礎とした例。

②オーストラリアの女性留学生の事例で、留学期間が終わった後は日本で働いたり日本人と結婚する可能性が高いとは認められず、元々の住所地であるオーストラリアで働く可能性が高いとして、製造業女性労働者程度の賃金は得ることになる可能性が高いという前提で基礎収入を算出した例。

日本で勤務中の場合

日本で勤務中の外国人の場合は就労ビザが基本的にあります。従って日本人と同じ様に基礎収入を計算していくことになりますが、必ずしも同じ様にという訳ではなく個々の事情に応じて異なってきます。

判例紹介

中国籍の出版社勤務男性が、日本で有効なビザで就労をしていたが、離婚問題解決のための冷却期間として日本に来日したものであり、日本語も十分に使えず早期に中国へ帰国することを望んでいたため、日本での就労年数を事故後2年間とし、その後は67歳まで中国で得ていた収入を基礎とした例。

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在留資格がない場合

被害者である外国人が不法滞在中であったり、在留資格(ビザ)の更新が確実とは言えないような場合には事故後一定期間が経過した後は日本以外で就労するものとして国外(基本的に出身国)で得られるであろう収入基準を推定した上で基礎収入とすることになります。

不法残留の場合

不法残留の場合は上記にあるように、事故後一定期間は日本で働き、その後は出身国に戻って働くという前提で計算することになります。

判例紹介

フィリピン籍の不法残留中のスナックホステスの事例で、事故の日から3年間は日本の賃金センサス平均賃金を基礎収入とし、その後67歳まではフィリピンの非農業従事労働者の平均賃金を基礎とした例。

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