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選挙カーの調達方法と費用-事故を起こした場合の責任の所在

この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。

選挙カーが立候補者や政党の看板を前後左右に配置しスピーカーをセットして「小選挙区は◯◯を、比例代表には◯◯党に一票を」と選挙運動をしながら走り回り始めます。

この選挙カーを候補者は一体どのように調達しているのか、またその費用について気になった事はありませんか?

今回は政治の話ではなく、選挙カーについて紹介したいと思います。

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選挙カーの調達方法

選挙カーは立候補者1人に対して1台の選挙カーを使用する事ができます。

公職選挙法第141条1項一号)

この選挙カー1台の調達手段はレンタルが一般的ですが、中には自家用車にポスター等を貼って選挙カーとして使用する候補者もいるようです。

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選挙カーの費用について

ここからは選挙カーをレンタルする場合を前提に話を進めて行きたいと思います。

かかる費用は【選挙カーの車体部分】と【看板枠やアンプ・スピーカーの音響セットなどの装置の部分】とに分ける事が出来ます。

車体部分は、立候補の機会を平等に与える事と立候補者の負担を軽減する目的で公費負担(国民の税金)が可能とされています。

この公費負担は、選挙カーに限らず選挙カーのガソリン代や選挙ポスターの作成費用などにも適用されます。

ただ、全ての立候補者が公費によってこれらの選挙費用を賄えるわけではなく一定の条件が設けられています。

公費負担の条件

■事業者と契約をして、契約書を選挙管理委員会に届け出ること
■選挙の種類によって異なるが、供託物が没収されない得票数を得ていること 等

供託物が没収されない得票数は、例えば衆議院議員選挙の場合は得票数が選挙区の有効投票総数の10分の1に達する場合となっています。

参考:選挙の供託金について(web-archive)

例えば衆議院選挙東京1区で有効投票数が30万票あった場合にA議員が15万票で当選、B議員は8万票を獲得し落選、C議員は5万票で落選、D議員は2万票で落選した場合、公費負担を受けられるのは有効投票の10分の1にあたる3万票以上を獲得したA、B、C議員となります。

当落に関係なく得票数の条件をクリアしていれば公費負担を受ける事ができるわけです。

ただし、選挙カーや選挙ポスター等種類によって上限額が決まっており、選挙カーの場合は2017の衆議院議員選挙では1日あたり15,800円でした。(レンタルの場合)

参考:神奈川県|平成29年執行 衆議院小選挙区選出議員選挙 公費負担のしおりp3

車体部分以外の看板枠やスピーカーなど音響装置のレンタル費用や施行・加工費用は、候補者の自費負担となります。

選挙カー専用の車両をレンタルする場合には車両部分の料金と装置部分の料金が区別されて契約する事になるかと思います。

最近選挙カーで人気が高いのはガラス張りの選挙カーだそうですよ。

選挙カー

photo by 株式会社グリーンオート

株式会社グリーンオートでは10日で30万円となっております。

衆議院選挙は12日間なのでだいたい40万円から50万円ぐらい選挙カーだけで必要になりそうですね。

選挙ってやっぱりお金がかなり必要ですね。

選挙カーが事故を起こしたら

最後にこのサイトは自動車保険がメインのサイトなので事故が起きた場合の話も触れておきます。

選挙カーはゆっくり走行していますし、有権者の目もあるので無茶な運転はしないはずなので事故なんて起こさないだろうと大方の人が思っているはず。

でも1日約12時間(朝の8時~夜の8時)を選挙期間中ずっと走行するので低速走行とはいえ事故の確率は高くはなります。

記憶に新しいと思いますが、実際に2年前の衆議院選挙で民主党の管直人元首相の乗った選挙カーが自損事故を起こしています。

このように選挙カーが事故を起こした場合には損害賠償の関係はどうなるのでしょうか?損害賠償責任者は運転手になるのか?候補者になるのか?レンタカー会社になるのか?

この問題は「運行供用責任者がいったい誰なのか」という風に言い換える事ができ、運転手とレンタカー会社は運行供用者責任があると考えられます。

 

合わせて読みたい

レンタカーやローンで車を買った場合は誰が運行供用者となるか

 

事故が起きた場合の候補者の責任

候補者に関しては推測の話になってしまいますのでご了承ください。

民法715条には以下のように使用者責任が規定されています。

(使用者等の責任)
第七百十五条  ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

選挙カーの運転手は候補者と契約をして選挙カーを運転し、またいつどこに行って欲しいなどの指示を綿密に受けているのが通常なので、候補者と運転手の間には指揮監督関係があると考えられます。

それ故、候補者と運転手は使用者と被用者の関係にあると考えられ、候補者は使用者責任を負うと考えられます。

ただし選挙の場合には候補者に代わり選挙事務所の管理をしている人が運転手を指揮・監督している場合もあるので、このような場合には候補者ではなく監督をしているものが代理監督者となり責任を負うことになると考えられます。

ただ、一般的には選挙カーをレンタルした場合には自動車保険料も支払う事からレンタカーの自動車保険によって損害賠償が支払わる事になるかと思います。

政治の政策等で注目を浴びなければならないのに、事故で注目を浴びてしまえば当選に黄色信号が灯ってしまうと言っても過言ではありませんよね。

事実管元首相は小選挙区では落選しました。

逆風であった事も要因の1つではありますが。

2014年のアベノミクス解散での衆議院議員選挙では誰も事故を起す事がないように選挙活動を行って欲しいものです。

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