交通事故関連の保険金詐欺・不正請求の罪や手口

(この記事は約 4 分で読めます。)

自動車に関わる保険金詐欺

保険金詐欺と聞くと、多くの方が最初に思い浮かべるのは「保険金目的の殺人事件」ではないでしょうか。

「保険金を貰う為に人を殺害する」という、非常に身勝手な犯罪ですよね。

サスペンスドラマなどで取り上げられる事も多いので、発生件数も多いと思いがちですが、被害件数全体のうち保険金目的の殺人事件はわずかでしか有りません。

参考:平成27年に保険金目的の殺人事件で検挙されたのは、わずか2件です。

また、過去10年程度は0〜4件程度で推移しています。

(参照元:警察庁「平成26・27年の犯罪情勢」)

実際のところ保険金詐欺の中で多いのは、火災保険や自動車保険などの損害保険契約に基づく保険金の不正請求です。

ここでは、損害保険の中でも交通事故関連の保険金詐欺に焦点を当てて、罪や手口などを見ていきます。

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保険金詐欺とは?

保険金詐欺は「保険会社から保険金や給付金を騙し取る事」です。

冒頭で出てきた保険金殺人も保険金詐欺の一種ですし、自分で自宅を燃やして火災保険金を請求するのも保険金詐欺ですね。

保険金詐欺

保険金詐欺の発生件数は把握が難しく、正式な統計結果がなかなか手に入りません。

そんな中、交通特殊事故による検挙状況については、警察庁が毎年調査結果を発表しています。

それによると、平成27年に交通事故関連の保険金詐欺事件で検挙されたのは177件で、被害額は265億円となっています(参照元:警察庁「平成28年警察白書」)。

「それほど多くないのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、これはあくまでも検挙件数です。

摘発されなかったものや、未遂に終わったものも含めると相当な件数になると考えられています。

自動車保険の請求件数は年間を通して非常に多く、保険会社のチェックが十分に機能しているとは言い難いです。

また、人身事故証明書が無くても保険金の請求は可能ですし、一定の手続を踏めばお金が振込まれて来るので、「つい出来心」でやってしまう方も多い様ですね。

この点、2012年に日本損害保険協会が実施した消費者意識調査では、ある行為に対して「絶対に許されない」と思った人の割合が記されています。

行為割合
車両盗難偽装95.6%
飲酒事実隠蔽85.5%
運転手すり替え81.0%
ガム路上捨て61.8%
公園の花抜き去り52.8%
別事故分の保険請求47.3%
慰謝料目的の通院46.4%
軽傷での休業補償請求40.5%

「別事故分の保険請求」や「慰謝料目的の通院」を絶対に許されない事だと考えてい人は、「ガム路上捨て」よりも低い、という結果になっています。

これらの行為が悪い事だと認識している人は意外にも少ない様ですね・・・。

保険金詐欺の罪

詐欺罪による刑罰

保険金詐欺は立派な犯罪です。

犯罪の根拠となる法律は、刑法246条と民法709条に定められています。

(詐欺)
第二百四十六条  人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

保険金詐欺は、刑法上「詐欺罪」という扱いになり、逮捕・起訴されると最大で10年の懲役刑が科されます。

(不法行為による損害賠償)
第七百九条  故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

一方で、民法上は不法行為となるので、被害者(保険会社)から損害賠償請求を受ける事になります。

要は、「保険金詐欺によって得たお金を返せ」と請求されるという事ですね。

なお、アメリカやドイツなどでは保険金詐欺を重罪と捉えており、通常の詐欺罪から独立させた「保険金詐欺罪」が制定されています。

例えば、ニューヨークでは保険金詐欺の金額に応じて刑罰が決められており、第1級保険詐欺罪(Insurance fraud in the first degree)は、最高で25年以下の懲役刑が科されます。(参照元:New York State Law

日本も保険金詐欺を根絶させようと思ったら、ニューヨークの様な厳罰化も必要なのかもしれないですね。

保険金詐欺の時効

犯罪の時効

保険金詐欺は刑法で定める犯罪(詐欺罪)なので時効があり、公訴時効は7年とされています(刑事訴訟法250条第2項4号。)従って、保険金詐欺が起きてから7年経過した後は、刑法で罪に問う事は出来ないという事です。

一方で、上述した民法の「不法行為による損害賠償請求」は、「被害者が損害及び加害者を知ったときから3年」若しくは「不法行為のときから20年」経つと時効が成立します。

(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条  不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

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保険金詐欺(交通事故関連)の手口

保険金詐欺の手口

ここでは、交通事故関連の保険金詐欺がどの様な手口でおこなれているのか、その例をいくつか紹介します。

「これなら自分でも出来そう」なんて思わないで下さいね、保険金詐欺を犯すと刑罰や家庭崩壊などの不幸な将来が待っていますよ。

  • 交通事故が発生した際に、以前自損事故を起こした際に付いた車のキズも合わせて保険金請求をする。
  • 交通事故の被害者を装い、自賠責保険の保障範囲内でおさまるケガをして入退院を繰り返し、自賠責保険から保険金を貰う。
  • 交通事故で負傷。通院が終了して保険金を請求する際に、通院日数を実際の日数よりも多めに申告する。
  • 加害者と被害者が結託して、わざと交通事故を起こし保険金請求をする。
  • オプションパーツを装着していないのに、装着していたと主張して保険金額をつり上げる。
  • 自動車の盗難事故を偽装し、保険金請求をする。

参考:保険金詐欺の類型としては、保険事故が発生していないにも関わらず発生したかの様に偽装する「事故偽装型」と、実際に発生している保険事故に便乗して実際の損害額以上の保険金を請求する「事故便乗型」とに大きく分けられます。

事故偽装型は完全に悪意ですが、事故便乗型はデキゴコロ的な要素も多いので、犯人が犯罪意識を抱いていない事が多い様です。

(参考:わが国における保険金詐欺の実態と研究

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まとめ

いかがでしたか?保険金詐欺の中でも「交通事故関連の保険金詐欺」は、出来心でしてしまう方が多く、規制するのが難しい様ですね。

しかし、損害保険協会は不正請求等防止制度を定めて常に不正な保険金請求に目を光らせているので、保険金詐欺は基本すぐにバレます。

決して保険金詐欺に手を染めない様にして下さいね。

損害保険協会は「保険金不正請求ホットライン」を設けているので、身の回りで怪しいと思う事があったら通報するのを忘れずに!

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