交通事故とは関係のない「老人性認知症」と判断されて賠償額を低く見積もられた例

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交通事故の賠償金は、交通事故との因果関係が無いと当然支払われません。

その最たる例が「交通事故と自殺との因果関係」ですよね。

自殺が事故と関係ないと判断されれば、ほとんど賠償金が支払われない事も多いです。

そして、それに並んで「事故との因果関係が有るか否か」を問題にされるのが、老人が交通事故で頭部を損傷した場合です。

・事故が原因で高次脳機能障害を患ったのか
・そもそも老人性の認知症を発症していたのか

の区別が付きにくいので争いになりやすいんですね。

専門医の診断で交通事故による高次脳機能障害と認定された例

①78歳女性Aさんが交通事故で頭部を損傷。

Aさんの症状は脳外傷の3級と認定される。

②しかし、損保会社は交通事故で高次脳機能障害になったのではなく、元々認知症であると主張。
(この場合、将来の介護料はほとんど支払われなくなります。)

③被害者側弁護士が専門医に診断を求めたところ「交通事故が高次脳機能障害の原因である」との診断

④裁判では原告側の主張が認められて、介護料だけで約3,800円の支払い命令が下された。

損保会社は、このようなケースで当然のように支払い拒否の姿勢を出してきます。

それに対抗する為には、やはり専門医に医学的に事故との関連性を証明してもらう他有りません。

しかし、高齢者なら認知症は誰しも発症するリスクが有るので、今回の裁判例のようにすんなりと払って貰えるとは限らないような気もしますけどね。

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認知症患者が急増すれば同じような裁判はこれからも起こる

厚労省が発表したデータによれば、2012年度時点で認知症を発症している人は全国で462万人。

2025年には700万人に到達すると予想されています。

700万人って事は65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症を羅患している事になりますから、物凄い世の中です。

更に、まだ認知症とは言えないけど、近い将来認知症を羅患する可能性のある「軽度認知障害者(MCI)」も含めれば、もっと多くの人が認知症になる可能性を秘めています。

老人

そういう時代に突入すれば、もっともっと今回のような裁判例が増えてくると思います。

損保会社も「認知症患者が増加していること」は十分承知の上で裁判に臨んでくるでしょうから、恐らく今回の裁判例のように「元々認知症だったでしょ?」という払い渋りスタンスは変わらないと予想されます。

従って、高齢者と一緒に暮らしている家族としては、認知症にならないような対策をしてあげる必要が有るのでは無いでしょうか。

早期対処・早期治療で認知症の発症を防げる可能性が有るようですからね。

とは言え「高齢者の孤独死」というキーワードが世間を流行らせている事も考えると、家族単位での助け合いはあまり期待出来ないのかもしれません。

社会全体で対処していくべき問題なのでしょうね。

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