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ヴィッツの歴史
初代ヴィッツが登場した1999年、当時「コンパクトカー」と言えばボディが小さい分車内スペースも狭く、価格の安いベーシックグレードでは低い動力性能やチープな内外装で我慢するしかない、というのが一般的でした。
そんな中、新たなコンパクトカーの開発にあたってトヨタが掲げたのは、「環境・安全・走行などの各性能において他のコンパクトカーを凌駕すること」「性能・価格競争力の両立を可能とする技術を確保すること」の2つの条件を満たす車。
その通り今までの「コンパクトカー」の概念を一掃するハイレベルな動力性能と広々とした車内、スタイリッシュな内外装を併せ持ちながら価格はベーシックグレードという、「夢のコンパクトカー」を実現させたんですね。
こうして1999年の発売と同時にヴィッツの人気はうなぎのぼりとなり、ライバルメーカーが同様のハイレベルコンパクトカーの開発に乗り出すきっかけともなりました。
2005年にはフルモデルチェンジを行い2代目ヴィッツが登場、更に2010年に2回目のフルモデルチェンジにて3代目ヴィッツとなり、2017年のマイナーチェンジを経てこれが現在の「新型ヴィッツ」として変わらぬ人気を誇っていますね。
新型ヴィッツの特徴
親しみやすい丸みを帯びたボディデザインで人気を博した初代ヴィッツですが、3代目130系ヴィッツも同様に、ミニバンスタイルを採用するライバル車も多い中、変わらず丸みのあるハッチバックボディを維持しています。
同時に「キーンルック」と「アンダープライオリティ」と呼ばれるトヨタ特有のデザインが採用され、ワイド感を持たせながらエンブレム~左右ヘッドランプまでをVの字に配置し、全体として端正で存在感のあるボディに仕上がっているんですよ。
また全幅全長は拡大されたものの依然5ナンバー車としての優れた操作性を維持していて、新構造のショックアブソーバーやボディ各部へのスポット溶接によって走行中や段差を超えるときの衝撃を吸収、車体を安定させてしなやかな動きと快適な乗り心地を実現させているのも、新型ヴィッツならではの特徴ですね。
何より一番の話題となったのは、ついに待望のハイブリッドモデルが追加されたことで、それまでトヨタ車で最小のハイブリッドカーだったアクアに搭載されているのと同じTHSⅡで、これにより34.4㎞/ℓの低燃費が実現されました。
一方ガソリンエンジンモデルでも1.0ℓ・1.3ℓ直列4気筒自然吸気エンジンが採用され、それぞれの燃費は24.0㎞/ℓ、25.0㎞/ℓと優れた燃費性能を発揮、特に1.3ℓ2WDモデルは新開発のアイドリングストップ機能を搭載することで低燃費性能はトップレベルとなっているんですよ。
ヴィッツの価格相場
ヴィッツの中でもスタンダードなタイプがFやUですが、例えば「1.3F」なら車両価格はおよそ150万円、「1.5ハイブリッドF」ならおよそ190万円。
華やかで女性らしい印象のある「Jewela」シリーズは、「1.3Jewela」で約180万円、「1.5ハイブリッドJewela」で約200万円となっています。
他にもスポーティな「RS」シリーズや「G’s」シリーズなどもあり、いずれもハイブリッドならおよそ200~220万円程とされています。
ヴィッツの買い方
ヴィッツを購入するにあたって現金一括払いが可能であればそれが一番なのですが、200万円ものまとまったお金を一度に用意できない場合には、マイカーローンや今話題のディーラーが提供する「残価設定クレジット」を利用することになるでしょうね。
ちなみにそれら以外の、一般のクレジットやカードローンなどでもヴィッツの購入は可能ですが、カーローンや残価設定クレジットと比べるとはるかに金利が高く設定されているため、どうしても高額になる新車の購入にはお勧めできません。
マイカーローンとは
マイカーローンとは、その名の通り自動車の購入に対してのみ利用が可能なローンのことですね。
元々は信販会社やディーラー系列のファイナンス会社が提供する信用販売商品の1つでしたが、現在日本においては銀行や信金、労金、JAバンクなどの金融機関も個人向け融資商品として取り扱われています。
信販会社や自動車メーカー系ファイナンス会社が提供するマイカーローンでは、それら信販会社が申込者を審査したうえで購入費用を立て替え、ユーザーはその金額に利息額を足した分を毎月分割で信販会社に返済していきます。
このシステム上、返済滞納や貸し倒れなどのリスクは信販会社が負うことになりディーラーは安心して車を販売できるため、現在どの自動車メーカーでもマイカーローンが用意されているんですね。
また購入した車はローンが完済されるまでは信販会社名義となり、これを「担保」にすることで信販会社側のリスクを軽減させています。
一方銀行などの金融機関が提供するマイカーローンの場合、利用希望者は直接金融機関へ申し込み、審査に通過すればその融資金が預金口座に振り込まれます。
こうして手にした資金で新型ヴィッツを購入し、あとは毎月金融機関が定めた利息額と共に融資金を分割返済していきます。
ここからも分かる通り、ディーラーは顧客のマイカーローン利用については一切関与しておらず、車の購入にあたってもその名義は所有者・使用者共に購入者本人(マイカーローンのユーザー)名義となります。
つまり融資元からすれば、購入車を担保にできる信販会社と比べて金融機関側が負うリスクが高くなるため、それだけ審査のハードルも高くなる傾向にありますが、その代わりに市場金利に準じた変動金利で融資するため、低金利で提供できるという点で信販系マイカーローンより有利になりますね。
マイカーローンのメリット
銀行系のマイカーローンかディーラー系のマイカーローンかによって、「マイカーローンのメリット」は異なってきます。
例えば銀行系マイカーローンの場合、その最も大きなメリットは「考えられる一番低い金利で融資を受けられる可能性がある」という点でしょうね。
銀行マイカーローンの平均金利はおよそ2~4%であるのに対し、ディーラー系マイカーローンの平均金利は大体4~8%。
しかも銀行によっては金利1%代のマイカーローンを用意しているところまであり、支払い総額に雲泥の差が出てきます。
例えば200万円の新型ヴィッツを買うために、金利2%の銀行系で3年ローンを組んだ場合
かかる利息は200万×0.02×3=12万円。
実質212万円で新型ヴィッツを購入したことになりますよね。
一方同じヴィッツを同じく3年ローンで、ただし金利4%のディーラー系を利用した場合
かかる利息は200万円×0.04×3=24万円。
実質224万円で購入したことになり、12万円もの差がついてしまうんですね。
ヴィッツ購入時から名義が自分自身になっていることから、支払いを完済する前でもヴィッツを売却してしまうこともできますし、同じ銀行で住宅ローンを利用していれば更に金利を優遇してもらえることもありますよ。
一方ディーラー系ローンはディーラー側で手続きを代行してくれるため、審査の手続きが楽ですし、購入するヴィッツそれ自体が担保となるため融資側にとってリスクが低く、その分誰にでも融資できる、つまり審査に通りやすいというメリットがありますね。
審査が緩い分だけ審査スピードも速く、最短なら申し込みから1時間程度、最近は長くても翌日までには結果が分かるようになっています。
また通常貸金業者は総量規制によりユーザーの年収の3分の1までしか貸付ができないのですが、車両を担保とすることで総量規制の対象外となるため、年収の3分の1以上の金額でローンを組むことも可能なんですよ。
マイカーローンのデメリット
銀行系マイカーローンのデメリットとしては、まず審査が厳しいということが挙げられますね。
低金利でしかも車両を担保にすることもない分融資側の銀行が負うリスクは高く、従って確実に返済できるであろうと思われる人にだけ融資すべく、どうしても審査基準が厳しくなってしまうんです。
また審査が厳しいだけ審査スピードも遅く、ディーラー系のように即日返答とはいきません。
早くて翌日、遅いところでは1ヶ月近くかかることもあり、平均としては1週間程度と考えておいた方が良いでしょうね。
一方ディーラー系マイカーローンのデメリットは、まず銀行と比べて金利が高いということが挙げられるのは勿論、支払いが完済するまではせっかく購入したヴィッツも自分名義ではないということからくる幾つかのデメリットもあります。
例えばローンの返済中はヴィッツを売却したくてもできませんし、そうであれば苦しくなった時に売却代金で残りのローンを支払うということもできませんよね。
また、駐車場の契約をしたくても自分名義の車検証の提出が条件であるためそれができないという場合もあるんですよ。
またディーラー系マイカーローンは車両以外にオプションの購入に充てることは可能ですが、自動車税や重量税、車検、運転免許取得費用に充てることはできません。
銀行系の場合はこれら法定費用を含め車に関係したことに広範囲に当てはめられるものが多いため、銀行系と比べて自由度が低く感じてしまいますよね。
残価設定クレジットとは
ディーラー系マイカーローンを組もうかと考えてディーラーを訪れた際、営業担当者に勧められることの多い「残価設定クレジット」。
残価設定クレジットとは「残価(残存価値)=下取り価格」を購入時にあらかじめ設定しておき、その残価を車両価格から差し引いた金額を3~5年の分割返済するシステムで、差し引いた残価分は最終回まで据え置きにしておきます。
支払い最終回に到達した時点で、①据え置きにしていた残価分をその利息と共に一括で支払って買い取り、晴れて自分名義の車として使用し続けるか、②もう一度ローンを組みなおして残価+利息を完済するまで続けるか、あるいは③残価は支払わずに車両を返却してローンをドローにしてしまうかを選ぶことになるんです。
残価設定クレジットは基本的に選択肢③に対応したシステムで、従来のマイカーローンで新車を購入する次のようなケースを想定してみると分かりやすいかもしれませんね。
例えば5年のフルローンで200万の新型ヴィッツを買ったとします。
しかし何らかの理由で3年目にヴィッツから他の新車に乗り換えたくなり下取り査定を受けると、査定額と残りの2年分のローンとが同じ金額でした。
それでヴィッツを返却してそれを残り2年分ローンと相殺させ、他の新車に乗り換えることができました。
残価設定クレジットは、このプロセスを組み込んでローンの一形態として確立させた、新しいタイプのマイカーローンというわけなんですね。
残価設定クレジットシミュレーション
例えば前述したマイカーローンのシミュレーションと同じ条件で、今度は残価設定クレジット(金利4%)を利用してローンを組むとします。
まず残価設定クレジットの大前提である残価(下取り価格)はおよそ車両価格の30~50%で設定されるため、仮にこれを30%とします。
3年ローンの支払い最終回までの利息額は
(200万-200万円×0.3)×0.04×3=16万8000円
で、35回までの毎月の支払額は
{(200万-200万×0.3)+16万8000}÷35=4万4800円
となります。
最終回36回目に残りの残価を一括払いするとすれば(選択肢①)その支払い金額は、
200万×0.3+(200万×0.3×0.04)=62万4000円。
あるいは一括払いは無理だけれど分割でなら支払えるという場合には、新たに残価分200万×0.3=60万円に利息を足した額を同じディーラー系マイカーローンを組みなおして完済するまで支払い続けることもでき、これが選択肢②となりますね。
一方で、もうヴィッツもローンも要らない!と思うなら、36回目の支払いまでにヴィッツを返却し残価分と相殺する、これが選択肢③となるわけですね。
残価設定クレジットのメリット
先に述べた通り、残価設定クレジットは基本的に「選択肢③」、つまり3~5年後に車を返却して残価と相殺する場合にメリットが大きいローンです。
残価分は支払い最終回に据え置きされているため、それまでの月々の支払いは残価分を差し引いた車両価格が元金となり、元金が小さければそれだけ利息額も小さくて済む、従って月々の支払いが少なくて済む、というわけですね。
簡単に言えば残価設定クレジットの場合、3~5年でヴィッツを手放そうと考えている人にとっては残価が頭金のような役割を果たしているわけです。
実際、残価設定クレジットを利用する場合には、頭金を用意する必要はありません。
このため、ヴィッツ購入時に手持ちが少ない人にとって残価設定クレジットは魅力的なシステムと言えますね。
また残価設定クレジットの場合は、購入時に設定された買取額(残価)が保証されていることもメリットになり得ます。
というのも、ヴィッツ購入時から3~5年後、その市場価格相場が変動し中古車価格が下がってしまう可能性もあるからです。
残価設定クレジットでは、例えそのようなケースでも最初に設定した買取価格が変わることはありません。
「当初は残価100万円と言っていたけれど、今の市場価格が下がっているから60万円で……」などといわれる心配がないんですね。
また3~5年で車を手放す・乗り換えると決めているなら、車検に煩わされることもないという点も、残価設定クレジットのメリットと言えますね。
残価設定クレジットのデメリット
一方、残価設定クレジット最大のデメリットは、一般的な支払い方と比べて元金が減るスピードが遅いため、支払う利息額が多くなってしまうという点でしょう。
何度も述べているように、残価設定クレジットは残価分を差し引いた金額に金利がかかっているわけではなく、単に残価を最終回に据え置きしているだけ。
残価設定クレジットの金利はあくまで残価を含めた車両価格全てにかかっており、そうであれば残価分だけ元金が減るスピードが遅くなる残価設定クレジットの方が支払う利息も多くなってしまうんですよ。
また、残価設定クレジットの利用にあたって選択肢③以外の選択肢を選ぶ人、特に選択肢②を選ぶ人の場合、「残価+残価にかかる利息」に対して新たにローンを組むことになるため、ここにまた金利がかかってしまいますよね。
つまり二重に利息を支払う形になってしまうんです。
その上「残価設定クレジットだけの特別金利」を設定しているディーラーは少なくありませんが、残価分に対するローンに関しては通常通りの金利しか当てはまらない、というケースもあります。
あるいは「選択肢③」の延長上で、購入した車を返却した後別の新車で残価設定クレジットを組むことができますが、その場合他メーカーの新車に乗り換えることはできません。
一度新型ヴィッツで残価設定クレジットを利用したなら、次もトヨタ車の中からしか選べないというわけなんですよ。
したがってもし他メーカーの新車が欲しくなったなら、そのメーカーのディーラーで新たに残価設定クレジット組むしかないでしょう。
更に言えば、残価設定クレジットであらかじめ設定された買取額は、ある一定の条件を満たしていることを条件としたものであり、それを逸脱すればペナルティが発生します。
具体的には、返却時に設定された走行距離をオーバーしている場合、傷やヘコミ、汚れがある場合、修復履歴がある場合、などです。
また購入時と同じ状態で返却することが前提であるため、車を自分好みにカスタマイズすることは許されません。
使用するにあたって自由度がかなり狭められてしまうのも、残価設定クレジットの大きなデメリットとなりますね。
残価設定クレジットに向いている人
新型ヴィッツを購入するのに残価設定クレジットの利用が向いているのは、何度も述べている通り「選択肢③」を予定している人、つまり3~5年後にはヴィッツを手放そうと考えている人ですね。
例えば3年間の予定で単身赴任が決まり、その間だけ車が必要でどうせなら憧れの新型ヴィッツに乗りたい!というような人。
あるいは新型ヴィッツにも乗りたいけれど4年後にはまた別の新車に乗りたいという人や、5年後には親との同居が決まっていて7~8人乗りに乗り換えたいのだけれど今現時点ではヴィッツに乗りたい!という人にも、残価設定クレジットはお勧めですね。
それぞれ3~5年の残価設定クレジットで新型ヴィッツを購入すれば、残価分を引いた金額でヴィッツライフを楽しむことができますよ。
あるいは今現在手持ちはないけれど3~5年後にはしっかり貯蓄ができていて残価を一括で支払えるという人も、残価設定クレジットがお勧めですね。
「残価設定クレジットのデメリット」で述べた通り、残価設定クレジットは通常より安い金利で提供されていることが多いため、とりあえずこれを利用して最終回はきっちり一括払いで買い取る、というのなら、通常のフルローンより安く抑えることができます。
残価設定クレジットに向いていない人
一方、残価設定クレジットに向いていないのは、3~5年以上新型ヴィッツに乗り続けたい人、おそらく「選択肢②」を取る可能性が高い人ですね。
これも「残価設定クレジットのデメリット」で最初に挙げたように、無駄な利息を支払うことになり普通のマイカーローンより高い値段で新型ヴィッツを購入したことになってしまうからです。
また残価設定クレジットに伴う走行規制などペナルティを気にしながら運転したくない人、例えば新型ヴィッツで色んなところへ旅行したい人や新型ヴィッツを自分好みにカスタマイズしたい人、運転に自信がない人、また自分以外にもヴィッツを運転する家族がいる人の場合も、残価設定クレジットには向いていませんね。
ヴィッツを買うならマイカーローン?残価設定クレジット?
以上のことから、では実際のところ新型ヴィッツを購入するならマイカーローンが良いのか残価設定クレジットが良いのか?をまとめてみますね。
確かに先に挙げた「残価設定クレジットに向いているパターン」も多少はあるものの、新型ヴィッツの購入を考えている大抵の人は、「残価設定クレジットに向いていない人」に当てはまるでしょうね。
5ナンバー車の小回りの利く優れた操作性に広々とした車内スペース、その上優れた低燃費性能とあれば、3~5年で別の車に変えたいとは思いません。
残価設定クレジットの設定走行距離のせいで長距離を走れないとすればせっかくの低燃費性能も魅力半減ですよね。
できるだけ長く、沢山乗り回したいのが新型ヴィッツですから、基本的に残価設定クレジットには向いていないんです。
それで新型ヴィッツを購入するなら、マイカーローン、それも銀行系マイカーローンを利用することをお勧めします。
確かに審査は厳しめですが、それさえ通れば最も低金利で融資を受けられますし、購入した時点から新型ヴィッツは自分のもの。
残価設定クレジットとは違って遠慮なく自由に運転することができますよ。
勿論ヴィッツの車検費用に充てるなど使途の自由度が高いのも、銀行系マイカーローンの魅力ですね。
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