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突然の海外赴任や、都心部への転勤などによって、車に長期間(半年から1年以上)乗らなくなってしまった場合、もし自分に代わってその車を使用する人がいなければ、車は長期間放置された状態になります。
車を長期間動かさない放置車両になってしまった場合、どのような車の故障が発生するのでしょうか。
まず一番に危惧するべきは、”車に長期間乗らないとバッテリーが上がってしまう”ということだと思います。
自動車のバッテリーは、車が走行した際にオルタネーターで発電した電気を蓄えて、その電気を車を走らせるため、あるいは快適かつ安全に運転する為に必要な個所へ電力を供給しています。
車のバッテリーは、上記のように車が動いて発電していない状態の時でも、少しずつ蓄えている電気を放電しています。
へぇ~。使ってもいないのに減るって不思議ね。
例えば車室内の時計を駆動する為の電力消費や、基本的にバッテリーのプラス極とマイナス極が接続状態にあると、車全体が常に通電状態になるので、それだけでバッテリーの電力は消費されていきます。
つまり、通電状態じゃなければいいってこと?
そうですね。
なので、長期間車に乗らない、車を動かさない時は、バッテリーを外しておかないと、いざ乗ろうと思った時にバッテリーが上がってしまってエンジンが掛からない・・と言った事になります。
また、バッテリーは完全放電してしまうと、それ以後は充電を受け付けなくなる、「バッテリーが死んだ」状態になってしまい、こうなると新品のバッテリーに交換するしかありません。
車を長期間乗らない場合、エンジンはどうなる?
車に長期間乗らないということは、エンジンを長期間掛けないということになりますが、自動車のエンジンを長期間始動させなかった場合、どのような故障のリスクがあるのでしょうか。
住宅なんかも人が住んでないとすぐにダメになるって言うわよね。やっぱり、車のエンジンも動かしてないと劣化が早いってことよね?
そうですね。直接的な劣化もそうですが、オイル関連による間接的な劣化にも注意が必要ですよ。
ドライスタート
少し小難しい話になりますが・・・
車のエンジンは、レシプロエンジンであればシリンダー内でピストンが上下運動し、ロータリーエンジンの場合だとハウジングの中でローターが回転運動しています。
レシプロエンジンであれば、ピストンリングとシリンダーの間、ロータリーエンジンであればシールとハウジングのトロコイド面の間に、油膜が形成されていて金属同士の摺動による接触を防いでいます。
この油膜は、エンジンを始動する事でオイルがエンジン内部を循環して形成されますので、エンジンを長期間始動しないとだんだんと油膜が剥がれていきます。(オイル下がり)
油膜が剥がれた状態で、エンジンを始動してしまうと、金属同士が擦れ合う状態になって、表面が傷付いてしまします。
これが「ドライスタート」という状態です。
ドライスタート状態は、エンジン内部のシール性に大きなダメージを与える事になり、圧縮比の低下によるパワーダウンや燃費の悪化と言った状況を招いてしまいます。
長期間車に乗らない時、ガソリンはどうすればいい?
車を長期間放置する場合、ガソリンは満タン状態にしておく、それとも空にした方が良いか?という事ですが、これは二つの意見に分かれるようで、どちらが良いのかというのはなかなか判断しづらいようです。
ガソリン満タン派
まず満タンにした方が良いという意見ですが、これはガソリンタンク内に隙間があると、ガソリンの気化によって水滴が付着し、ガソリンタンク内部が錆びてしまうのを防止するといった意味合いがあります。
最近の車のガソリンタンクは軽量化より樹脂化が進んでいますので、タンク内の錆びといった問題は解決出来そうですが、他の理由として、燃料ポンプをはじめヒューエルラインのゴム部品の感想状態による硬化を防ぐといった考えもあるようです。
ガソリン空派
一方の空にした方が良いという意見ですが、これはやはりガソリンの経年劣化による酸化が進み、過酸化物が増えてワニス・ガム質等が多くなってフィルターやフューエルラインを詰まらせてしまうといった見解によるものです。
実際にこのガソリンの酸化劣化による燃料計の故障はよくあるそうで、フューエルインジェクターとかの詰まりによる故障となると、結構な修理費用も掛かるようです。
難しい話が多いわね。つまりはどっちがいいってことなの?
一概にどちら。とは言えないんですが、乗らない期間によって判断するのが良いと思いますよ。
個人的な主観として、半年くらいの期間であればガソリンはそのままでもいいかと思いますが、1年、2年以上の期間車に乗らないのら、ガソリンは抜いておいた方が良さそうな気がします。
長期間乗らない車を放置するなら、いったん売却した方が良い
車に長期間乗らない場合は、その間の維持費を軽減する事も重要です。
例えば自動車税は一時抹消登録をすることで、請求を止める事が出来ます。
また、自動車保険も何年間かは等級を維持して一時停止しておくことが出来ます。
しかしながら、上記のような、乗らない車を長期間放置する事による故障・トラブルのリスクを考えると、長期間の放置後にまたその車に乗ろうとしても、修理代やメンテナンス費用が膨大に掛かってしまい、結果的には高くついてしまった・・という事になりかねません。
なので、車に長期間乗らない状況になったら、維持する事を考えるよりも一旦、その車は売却する方向で検討された方が良いかもしれません。
愛着はあれど、やはり年数が経つと車の査定価格も下がってきますし、走行距離も少ないほど有利な買取条件で売る事が出来ます。
まあ、長期間乗らないと車の劣化も進むし、価値も下がるから売った方が良いってのは分かるんだけど、具体的にはどのくらいの期間乗らないなら売った方が良いのかしら?
車の価値(相場)は半年もあれば大きく変化するので、半年以上乗らないなら売った方が良いと思いますよ。
長期間ご自分の車に乗れない状況になるようでしたら、まずは今ならどれくらいの値段で売れるのか?を確認してみてはいかがでしょうか。
なお、下取に限らず売却する際も、自動車ディーラー等に持ち込んでしまうと大変損をしてしまいますので、注意が必要です。
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