この記事を読むのに必要な時間は約 4 分です。
交通事故に遭遇し被害者が死亡した場合、死亡によって得る事が出来なくなった利益(逸失利益)を算出して、相手方に損害賠償請求をします。
死亡による逸失利益は「死亡逸失利益の考え方【弁護士基準】」で説明している様に「事故がなければ被害者があと何年働くことが出来たか=就労可能年数」を考慮した上で、逸失利益を算出していくことになります。
では、この就労可能年数は一体どのようにして算出するのでしょうか。
就労可能年数の認定
就労可能年数の認定といっても「被害者が事故に遭遇しなければ何歳まで働いたか」ということは誰にも分かりません。だからといって「平均余命まで働く」と考えることも正しいとは言えません。そこで、就労可能年数は、被害者の事故時の年齢や職業等を考慮して認定していくことになります。
幼児や未成年の場合
幼児や未成年の場合は「18歳から67歳までの49年間」が就労可能年数となります。中には中学生や高校生の時からアルバイトをする方もいるでしょうが、就労可能年数についてはあくまでも「18歳から働くという前提」で計算することになります。
サラリーマンの場合
一般的にサラリーマンは会社で定年が定められているので、定年になるまでが就労可能年数となります。
ただし最近は、定年になってもまだまだ元気で再就職される方が多くなっています。そこで、もし定年後の再就職先が決まっているのであれば、再就職先の定年までを就労可能年数と考える場合も有ります。
しかし、一般的に再就職先が決まるのは定年直前です。これだと、定年の1〜2年前に被害にあった場合に、定年まで就労可能年数が考慮されないという不公平が生じます。そこで「晩婚化が進んでおり、定年時にまだ子供が小さい場合は定年後もしばらく働くことがあり得る」という点に着目し、子供が小さい場合は67歳になるまで働くものとして逸失利益を計算していく傾向にあります。
自営業・農業者等の場合
自営業者や農業に従事している方には定年の制度がありません。早期で引退する方もいれば、70歳を超えても元気に働いている方もたくさんいます。そこで、平均をとって67歳まで働けるものとして扱われます。
主婦の場合
主婦業に定年はないですが、他と同様に通常は67歳までが就労可能年数として扱われています。しかし亡くなった時点で67歳の場合は、健康であれば平均余命の半分くらいが認められる傾向にあります。
スポーツ選手や芸能人の場合
スポーツ選手や芸能人は一般の職業と異なり、スポーツの内容や芸能活動の内容によって何歳まで活動が出来るのかが大きく異なってきます。例外はありますが、野球選手は平均引退年齢が29歳と言われていますし、プロゴルファーは40〜50代でも活躍されている選手は多くいます。そこで、活動内容などに応じて個別に認定していく事になります。
コメント
この記事へのコメントはありません。