(この記事は約 3 分で読めます。)
後遺障害を負った場合の保険金請求の考え方として、「被害者請求」と「事前認定」の2つが有ります。どちらを選んだ方が被害者にとって有利になるのでしょうか?
被害者請求と事前認定の意味
■被害者請求
被害者請求とはその名の通り、被害者が直接自賠責保険引受会社に対して、「損害賠償額」の支払いを請求する事を言います。等級認定の依頼に関しても、被害者側主導で開始します。
■事前認定
現在の日本の自動車保険では、任意保険の引受会社が自賠責の保険金も含めて被害者へ一括で支払って、その後、自賠責負担分を自賠責の引受会社に請求するという流れが一般的です。(これを任意一括払い制度と言います。)
任意保険の引受会社は、スムーズに自賠責負担分を回収できるようにするために「一括払い」の手続きを始める前に、予め損害保険料算出機構に対して、後遺障害の等級認定の依頼をかけます。これが「事前認定」です。よって、事前認定の場合には、任意保険会社主導で等級認定が開始されます。
どちらが被害者にとって有利なのか?
被害者は「被害者請求」を利用するのも自由ですし、任意保険会社の「事前認定(一括払い制度)」に委ねてももちろんOKです。但し、それぞれメリット・デメリットが有ります。
事前認定のメリットを一言で言うと【楽】です。等級認定の手続きに関して、書類の用意等々を任意保険会社がやってくれるので、被害者はそれに従うだけでOKです。
一方、デメリットは示談がまとまらない場合に、保険金が支払われるのが遅くなること。更に、「等級認定」という賠償額に大きな影響を与える大事な手続きを、(保険金を出来る限り払いたくないと思っているだろう)任意保険会社に全て任せてしまうことへの不安感が出てくる事です。
被害者請求であれば、等級認定の書類は自分で用意することになるので煩雑にはなりますが、場合によってはその道の専門家の意見を参考に、より有利な等級を引き出せるような準備が出来る可能性も有ります。
また、等級の認定さえして貰えれば、未だ示談の交渉中であったとしても自賠責部分の保険金に関しては、示談の終了を待たずに受け取れるというメリットが有ります。
上記のようなメリット・デメリットが有ることを理解して、どちらを選ぶか慎重に検討して下さい。個人的には、後悔しないためにも「被害者請求」で直接請求した方が良いのではと思います。
両者の比較に関してはこちらの記事で詳しく行っています。参考にどうぞ。
コラム:後遺障害支払い件数の推移
損害保険料算出機構では、等級認定の他にも色々な仕事を行っています。そのうちの1つが自動車保険の現状をまとめて公開するディスクロージャー制度です。下記よりご覧になれます。
その中の「第1部 平成25年度の事業概況」を見ると、傷害事故のうち「後遺障害に対する支払いは何件あったのか?」という統計データが示されています。
この表を見ると、平成25年度における後遺障害案件は59,422件。平成21年度からの後遺障害の支払割合は若干ではあるものの下がってきている事も分かります。(5%台には変わりありませんが。)
もしかしすると、先進自動運転システムを搭載した車が続々と登場した事により、事故に遭っても軽傷で済むケースが増えてきているのかも知れません。(機構が後遺障害として認定する数が減ったという可能性が無いことも無いですが。)
とは言え、未だに年間6万人近くの人が交通事故で後遺障害を負っている事は揺るぎない事実です。
維持費の節約のために軽自動車を選ぶ人が最近は多くなってきていますが、耐久性の面で考えればどうしても普通乗用車には劣ります。万が一の時のために自分の身を守るのは自分ですから、そういう観点も持ちつつ車選びをして欲しいところですね。
保険は万が一の時のための金銭補償でしか有りませんからね。
コメント
この記事へのコメントはありません。