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土地を貸したり家を貸したりして家賃収入を貰って生活している地主・家主、あるいは生活が厳しくて国から生活保護を受けている人たちは、収入はあるけれど働いている訳ではなく、仮に交通事故にあったとしても収入が直接減少するわけではありません。
ここでは、これら地主・家主や生活保護受給者にも休業損害は認められるのかについて見ていきます。
地主や家主の場合
地主や家主は地代や家賃収入はあったとしても、交通事故で休業損害を考える上では「無職者」として扱われます。
交通事故に遭遇したからといって収入が減る訳ではなく、入居者さえいれば継続的に収入が発生しますからね。
いわゆる「不労所得」です。
また、失業者と異なり就労する意思も認められないので、休業損害は基本的に発生しません。
しかし、不動産賃貸をしている方の中には被害者自身が不動産管理をしていることもあるので、管理が出来なくなったという意味では損害が発生する可能性もあるので注意が必要です。
賃貸マンションの管理業をしていた男性の事例。
就労内容の金銭的評価を賃料収入の7%にあたる年額280万円とし、症状固定までの382日間について293万円余を認めた例
生活保護受給者の場合
生活保護を受けている方の場合は、当然無職のはずです。
そして労働ができないから生活保護を受けているという事情から、労働の意思も基本的には認められず、休業損害は発生しません。
しかし例外として、生活保護受給者が家族の家事労働に従事しながら生活保護を受給している場合には、家事労働に対する休業損害が認められることがあります。
①交通事故に生活保護を受けていた主婦の事例。
生活保護受給者=無職者なので収入が減少したとは言えないが、同時に主婦として家事労働に従事していたので、賃金センサス(女性・学歴計・全年齢)平均賃金を基礎収入として認めた例。
②夫と息子と同居しながら家事労働をし、生活保護を受給していた女性の事例。
家事労働が認められ、賃金センサスの平均賃金の8割を基礎とした例。
生活保護を受給している方は、厚生労働省によると、2014年4月時点で215万9,847人います。
1995年(当時は80万人程度)を境に増え続け、200万人を超えるに至っています。
景気や季節によって左右されますが、日本人が1億2千万人強であることからすると、実に全体の2%近く(100人に2人!)の方が生活保護を受けていることになります。
中にはあの手この手で不正受給をする方もいて、よくニュースで話題になっています。
生活保護の減資は税金なので、しっかり働いて納税している人からすると、しっかり管理して本当に必要な人だけに支給して欲しいものですね。
景気が上向きになり、生活保護受給者が減少する年がくることを期待したいですね。
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