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車の保険に入っていれば、万一事故を起こした時にも多額の負債を背負ってしまう事はない!そう思っている人もいるかもしれませんが、実は保険が適用されないケースもあるので注意が必要です。
広く知られているところで言うと、飲酒運転で事故を起こした場合は、保険適用外というものがありますよね。
実はこれ以外にも保険金が下りない様々なケースが存在するので、油断大敵です。
対人・対物賠償保険で支払われないケース
冒頭でも述べましたが、飲酒事故以外にも任意保険が利かなくなるケースがあるので一つずつ見ていきましょう。
飲酒運転
飲酒運転で事故を起こした場合、保険金が支払われない事は広く知られるところですが、麻薬や違法薬物を使用していた場合も、同じように保険金が支払われません。
しかし、飲酒や薬物などで事故を起こした人は自業自得ですが、相手方からしたら、そんな状態で事故に巻き込まれて、治療費や修理費用を払ってもらえなかったら納得いかないですよね。
しかし、安心してください、飲酒運転で事故を起こしても、対人・対物の損害補償はおります。
飲酒運転で使うことが出来ない保険は、「傷害保険」や「車両保険」などなので、自身の怪我や車の修理費用にあてるお金は保証してもらえないという事になります。
無免許運転
これもまた、飲酒運転や違法薬物を使用しての運転と同じく違法運転なので、相手方への損害補償である対人・対物の保険を使う事はできますが、自身の治療費や修理費の保証を受け取る事はできません。
故意の事故
故意に事故を引き起こしたと判断された場合はあらゆる保険金がおりません。
それどころか、故意に事故で保険金を請求すると詐欺行為となって罰せられる可能性もあり得ます。
契約の範囲外
「家族限定」や「30歳以上限定」などの割引が適用されている場合、その範囲外の人が運転していて起こった事故には、保険が適用されません。
契約内容をしっかり把握しておかないと起こり得る事態なので、「契約範囲外の人には運転させない事を徹底する」もしくは「運転者の幅が広い場合は限定解除をしておく」ことが大切です。
また、車を買い替えた場合に「契約の車種の変更」を忘れていたり、走行距離が契約内容以上となっている場合にも保険適用外となってしまうので注意が必要です。
日数の経過
事故が起こったその日の内に保険会社に連絡しなければならない、なんてことはありませんが、事故日から2ヵ月(60日)を過ぎてしまうと保険適用外となってしまいます。
事故当日や事故後数日は怪我で動けなかったり、気が動転して忘れてしまっている事もあるかもしれませんが、どんなに遅くとも60日以内には保険会社に連絡するようにしましょう。
相手が家族の場合
対人保証・対物保証などは、他人へ支払われる保険金なので、相手が「運転している人の家族」「家族の車」「自宅の車庫にぶつけてしまった」という時には、対人保証も対物保証も適用されません。
しかし、対象が家族の場合は適用外と言っても、保険会社の家族の定義が1等身までなので、仮に兄弟の車に接触してしまった場合などは、兄弟の車を対物保証で直すことはできます。
対物賠償責任保険では、自身が所有する物に生じた損害は対象外です。 たとえば自宅ガレージで物損事故を起こしてしまった場合は、ガレージは火災保険、車は車両保険が適用できる可能性がありますので、こういったケースでの補償を希望される方は、火災保険と車両保険の内容をチェックしてみてください。 また、対人賠償責任保険でも、本人自身およびその近親者に生じた損害は補償されません。 そのため、人身傷害補償保険には加入しておくべきなのです。
自然災害
台風・洪水・地震・津波・噴火など、基本的に自然災害による被害には、対人・対物などの保証は適用されません。
しかし、台風や洪水で水没してしまった場合などは、車両保険の対象となる場合もあります。
暴動による被害
戦争や内乱など、暴動などに巻き込まれて被害を受けた場合にもあらゆる自動車保険の受ける事ができません。
オプションや特約などでも保険金が下りないパターン
人身傷害補償保険で支払われないケース
上記、対人・対物賠償保険で支払われないケースのうち、台風、洪水、高潮による損害で、自身およびその近親者に生じたものは、人身傷害補償保険の補償対象となっています。
また、無資格運転、酒気帯び運転、麻薬等の影響を受けた運転により自身に発生した損害は補償されません。
ただし、このような場合でも、他人に発生した被害については、被害者救済の観点から対人・対物賠償保険により補償されることになっています。
車両保険で支払われないケース
車両保険においては、衝突、接触、墜落、物の飛来、物の落下、火災、爆発、盗難、台風、洪水、高潮、等の事故により被保険自動車に生じた損害は補償されますが、摩滅・腐食・さびや、パンクした場合のタイヤの損害等は補償の対象外となっています。
車両保険にはグレードがある
自身の車は、車両保険で直せると思っている人もいますが、車両保険にも対象となるケースとそうでないケースがあります。
車両保険にはグレードがあって、「一般~エコノミー」までの4種類となっています。
例えば、エコノミーの車両保険だと、保険料をぐっと抑える事ができますが、保険が適用されるのは車同士の事故の場合のみに限られます。
一方、一般クラスの車両保険では、単独事故や当て逃げなど、例外を除いた全てのケースで車両保険を使うことができます。
特約で対象外になってしまうケース
最近では、特約により運転者の氏名を特定する「運転者限定特約」や、運転者の年齢を制限する「運転者年齢条件特約」等を付加することにより保険料を引き下げる自動車保険がありますが、当然、これらの特約で定めた補償の対象者でない場合には補償はされませんのでご注意ください。
言うまでもないことですが、保険の更新時期が来たのに手続きを行わずに事故を起こした場合には、当然補償の対象にはなりませんので、更新の連絡が来たら早めに手続きをしておきましょう。
駐車場での事故
駐車場での事故は様々な事例があって、駐車場内で起きた事故に対して、保険金が支払われなかった事例もあります。
そもそも道路交通法では「公道での対人又は車同士の接触による死傷や損壊、および静止物の損壊を交通事故とする」というような定義されています。
そして、駐車場というのは私有地なので、交通事故とみなされず事故証明が取れない事があります。
また、自動車保険の契約内容には、私有地での事故を保証しないと記載されている事もあるので、その場合は保険が利かないことになります。
しかし、不特定多数の車が出入りする駐車場の場合、それを道路とみるべきだという見方もあったりするので、そういったケースの場合は保険が適用される場合もあります。
消耗品の交換など
上記でも述べましたが、タイヤやブレーキなど摩耗して交換となった場合などは、車両保険やいかなる自動車保険でも保証されませんので、交換や修理費用は自腹で負担しなければなりません。
また、腐食や錆、そして故障などについても同様で、時間と共に劣化してくものに関しては保証されません。
保険会社によって違いがある
ここまで、自動車保険が適用されないケースについて記してきましたが、大まかな部分はどこの会社でも同じ内容となっています。
しかし、細かい部分での違いはありますし、同じ損保会社でもプランによって保証内容は大幅に変わってきます。
「〇〇なら保険でなんとかなるよ」といった話を鵜呑みにせずに、自身の契約内容をしっかりと確認して把握しておくことが大切です。
まとめ
車を運転する人ならほとんどの人が利用している自動車保険ですが、契約内容を完全に把握している人は結構少ない物ですし、難しい言葉が多いので頭が痛くなりますよね。
しかし、契約内容をしっかりと把握せずに、更新を担当の人任せにしていると、保証して欲しい部分は保証されていないのに、余計な保証がついているせいで無駄に料金が高い。なんてことになりかねません。
完全にとまではいかなくても、80%~90%くらいは契約内容を把握しておかないと、いざ事故が起こってしまった時に保険が使えない、なんてことになっては高い保険料を払っている意味がありません。
これは結構多くの人が陥りがちな落とし穴なのですが、「任意保険に入っているから大丈夫!」「車両保険に入っているから大丈夫!」と妄信的に信じていては、後々後悔するのは自分です。
よく、毎月ちゃんと保険料を払っていたのに「保険がおりなかった」または、「納得のいく額の金額を保証してもらえなかった」という質問を目にしますが、しっかりと契約内容を把握していれば防げた内容のもの多い物です。
専門家からのコメント
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
コメント
保険代理店としては、ご契約頂いている自動車保険で保険金が支払われないケースはお客様の信頼を一瞬で失う事になる為、絶対にあってはならない事です。
しかしながら、当社ではありませんが、事故相手で契約している自動車保険の内容に不備があり、事故対応ができない事例がありました。
事故時に契約車両と現在の車両が相違している事が発覚し、相手側保険会社が事故対応できないという事案が実際にありました。
詳細な情報開示はありませんでしたが、相手側保険会社が車両入替の手続きを失念していた為に発生した事案でした。
車両入替は一定の期間内に正しく手続きを完了する必要がありますので、ご注意ください。
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