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自動車保険に付帯できる弁護士費用特約って必要なの?そんな疑問を感じている人が結構いるようです。 一部保険会社では自動付帯になっている所も有ります。
そこで、弁護士費用特約の「加入率」や「使用率」のデータを簡単にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
加入率と使用率データ
まずは、損保会社が発表している弁護士費用特約の加入率を見ていきます。
損保各社のホームページを見たところ、加入率を公表しているのは「セゾン自動車火災」と「ソニー損保」だけでした。
■セゾン自動車火災
■ソニー損保
セゾンが「72.9%」、ソニー損保が「56.5%」ということで、公表している2社の間でも16.4%の差が有ります。
しかし、概ね半分以上の方が付帯させていることが分かります。
続いて、2012年6月に産経新聞が発表した「弁護士費用特約の付帯状況と利用率のデータ」を見てみましょう。
上記画像中、緑の縦棒が契約件数で右目盛がその数字。
一方で、青色の折れ線が実際の利用件数で左目盛がその数字です。
平成22年度時点で、契約件数は1,430万件。
日本の世帯数の約30%が付帯させていた事が分かっています。(平成26年度時点の契約状況を開示している「ソニー」や「セゾン」と比べると、かなり古いのですが)。
実際の使用率はどうなってる?
次に、実際に弁護士費用特約が利用された件数ですが、平成22年(2010年)の利用件数は「8,200件」だったそうです。
つまり、弁護士費用特約に加入している人の中で、実際にこの特約を使ったことがある人の割合は、たったの「0.05%」という事になります。
かなり低いですね。
利用率が低い理由として、以下のようなものが挙げられます。
特に「③」に関しては、日本人の特性を良く表していると言えます。
具体的に言うと、争いを好まない性質と言いましょうか。
アメリカのように「何か問題が有ればすぐに訴訟を起こす」という文化が発達していないので、「弁護士費用特約を使うまでもない!」と判断して、使わない人がかなり多いのでは無いでしょうか。
あと「弁護士」は少し敷居が高いので「こんなことで特約使っても大丈夫なんだろうか?」と思って、中々踏み出せない人も多いでしょう。
弁護士費用特約には出来る限り入っておいた方が良い
加入率はそこそこ高いものの、利用率が非常に低いので、説得力が有りませんが、基本的に弁護士費用特約は必要です。
法律の交渉を自分一人で行うのは非常に骨が折れますし、プライベートで弁護士に依頼すればかなりの料金を取られます。
例えば、賠償請求額が1,000万円の案件を、プライベートで弁護士に依頼すれば、弁護士費用だけで100万円程度取られる事もザラに有ります。
それを、年間2,000円程度の保険料で、概ね300万円程度の訴訟費用まで負担してくれるのですから、付帯させない理由はあまり有りません。
また、弁護士費用特約の良い所は、請求額が数十万円程度の少額訴訟でも利用可能な点です。
少額訴訟だと、尚更弁護士の力を借りる必要はない・・・と思う人もいるかもしれませんが、特約を付帯させていれば、無料で使えるのですから、利用しない理由は有りませんよね。
火災保険や医療保険の特約で既に付帯させているとか、弁護士保険に入っているなどの特別な理由が無い限りは、万が一の時の為に加入しておくのが正解だと思います。
訴訟費用を自分で捻出できるくらいの蓄えが有る人も、加入しなくても良いかもしれません。
専門家・FPからのコメント
黒須かおり(Kaori Kurosu)
2007年FP資格取得、保険会社、保険代理店をへて女性による女性のための独立系FP会社にて勤務。2016年、個人事務所FPofficeRapportを設立。女性を中心にマネーとキャリアのコンサルティングを行う。2019年個人事務所からFPラポール株式会社を設立し、代表取締役に就任。 現在延べ3,000人が参加したマネーセミナー講師や、企業研修、国や行政などでのセミナー講師などを務める。30代40代女性やファミリーなどを中心に個別相談をおこなうかたわら金融機関でのお客様の資産運用アドバイザーとしても活動経験あり。年間50本以上メディアへの執筆も行う。 <保有資格>CFP
自動車保険の弁護士費用は、どんなときに使えるのか知らない人も多いようです。
自動車事故で相手との交渉がうまくいかない時や、そもそも過失がないときなど自分で相手と交渉することはとても大変なことです。
個人で弁護士に依頼するとなると、敷居が高いと感じるかもしれませんし、高額な費用がかかることもあるかもしれません。
そんなとき、弁護士費用があればたとえ少額でも自分に変わって交渉をしてくれます。
また、費用の範囲も自動車事故に限るか、日常生活でのトラブルも補償されるのか選択することができる場合もあります。
実際に使うか使わないかを予想することはできませんが、もしもの時の安心と思うのであれば加入しておいてもいいでしょう。
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