葬祭費/葬儀費用の基準金額~香典返しは認められる?

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交通事故で被害者が死亡したとき、葬祭費が発生します。

地域によって葬儀の形式が異なり、また亡くなった方の社会的地位や年齢・家族構成によっても葬儀の規模は異なりますが、日本消費者協会のアンケート調査によると平成25年の葬儀費用総額の全国平均は188.9万円(内、葬儀費用本体は122.2万円)となっています。
(出典:財団法人日本消費者協会 第10回「葬儀についてのアンケート調査」平成26年1月より)

不運にも家族が交通事故で死亡し葬儀が必要となった場合には、被害者遺族としては葬儀費用も加害者に請求したいものです。そこで、死亡事故では葬儀費用や諸費用について損害として認められるのかについて見ていきましょう。

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自賠責基準

自動車損害賠償責任基準(自賠責基準)では、葬祭費は原則として上限60万円までを損害として認めています。しかし、上記にもある様に全国平均で葬儀費は122.2万円かかるため、60万円ではとても足りません。

そこで、60万円を超える事が明らかな場合は「社会通念上必要かつ妥当な実費」が認められることになります。

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交通事故損害額算定基準(裁判基準)

日弁連交通事故相談センターが発行している「交通事故損害額算定基準」では葬儀費用の目安としては130〜170万円に設定しています。葬儀費用の平均に沿った金額が裁判では認められているという事ですね。

あくまでも目安としての金額なので、交通事故の状況や被害者の背景などによっては高額な費用が認められることもあります。

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裁判上の争点

「交通事故損害額算定基準」では葬儀費用の目安としては130〜170万円に設定されていますが、争点がいくつかあるので見ていきましょう。

そもそも葬儀費用は損害として認められる?

交通事故が起きなかったとしても、人は病気や寿命など様々な原因でいつか必ず死にます。そして葬儀費用もいつか必ず必要となります。

いつか必ず死ぬ人が交通事故により早く亡くなってしまったからといって、葬儀費用を加害者に請求することは過度の負担とも考える事ができます。また、葬儀をする目的はそもそも故人を弔うことにあるのに、その費用を被害者が負担せずに加害者に負担させることは弔いの趣旨からするとおかしいとも考えられます。

しかし、裁判では葬儀費用については「当然に加害者が負担すべきである」という毅然とした立場をとっています。

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位牌・墓地購入費等は認められる?

葬儀には位牌や墓地の購入費も必要となります。そして、裁判ではこれらの費用は損害として認める傾向にあります。しかし、葬儀費用の賠償額は130〜170万円程度と支出額の一部が認められるに過ぎないので、墓地の購入費が高額だったとしても基準額を超えた費用は損害として認められません。

結果として、葬儀費用が基準額に達していない場合に位牌などの購入費が損害として認められることになります。

香典返し費用は認められる?

香典返しや葬儀に来てくれた人への接待費は葬儀にはつきものですが、これらの費用は損害としては認められません。また、葬儀費用の賠償額は上記の様に一定額に制限されているため、仮に香典返しや接待費を損害として認められた所で、損害額が増えることは現実的にあまりありません。

以下、葬祭費関連について述べている判例を抜粋して紹介します。

判例紹介

①タクシー乗車中の女子高生2名が交通事故で亡くなった事例。社会の注目を浴びた事や事故当時15歳の女子高生だったことから葬儀が大規模にならざるを得ない、として2名合計398万円の葬儀費用を認めた例。

②小学生が通学途中に交通事故で亡くなった事例。通学途中の事故ということで、学校関係者が多く参列したことや7歳という若い命が失われたことは過重な負担であると推察されることから葬儀関係費として300万円を認めた例。

③小学生の死亡事故で葬儀費用150万円・仏壇購入費14万円・墓石建立費7万円を認めたが、被害者の慰霊のために憧れていた自動車の彫刻を設置した費用は否定された例。

④歩道で交通安全ボランティア中の女性が暴走した車にはねられて死亡した事例。県警が警察協力殉職者として扱い、これに恥じない葬式をする必要があるとして、500万円を超える費用を夫が支出したことから250万円の葬儀費を認めた例。

⑤タクシー運転手が事故で死亡した事例。訴訟が進行中であることから葬儀が未だ行われていないが、葬儀を将来的に行う可能性が高いとして80万円の葬儀費を認めた例。

⑥妻が交通事故で死亡した事例。被害者の夫が単身赴任中で大阪に居住。親戚の多くも大阪に住んでいるため、大阪にて通夜・告別式を実施した。また、妻の住んでいた東京でも仮通夜を行ったが、これについてはやむを得ない事情があるとして200万円の葬儀費を認めた例。

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