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「両脚のひざ下」を全て切断するなんて、普通では考えられないような大事故ですよね。今後は車椅子での生活を余儀なくされますから、当然仕事にも制限がかかるでしょう。
そうなってくると、当面の生活費や仕事が無くなった時の生活費のために、ある程度の保険金が支払われないと事故を起こした人はとても生きていけません。しかし、こんな重傷を負っているにも関わらず、損保会社が払い渋ったという事例が有るそうです。
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保険金不払いエピソード
このエピソードは「自動車保険金は出ないのがフツー (幻冬舎新書) 著:加茂 隆康」を参照させて頂きました。
Aさんは友人を出迎えに行くため、成田空港までの道のりを「バイク」で走っていたそうです。その道路は、普段は車通りも多く万が一転倒すれば、後続車に惹かれて死亡してしまう可能性も有るような道路です。
気をつけて走っていたものの、突然犬が道路を横切りました。Aさんは「危ない!」と思って急ブレーキをかけたのですが、これがキッカケで転倒。ガソリンを満タンにしていたことも有り、バイクが炎上。Aさんは運悪くバイクの下敷きにもなっていました。
事故の影響で両足が骨折していたことも有り、バイクの下から抜け出せず、炎は一気に燃え上がり、Aさんの両脚も一緒に炎に包まれました。その後病院に運ばれたものの、残念ながら両脚を切断するしか方法は有りませんでした
そして、Aさんは退院後に損保会社に対して、自損事故保険金及び搭乗者傷害保険金を請求するのですが、驚いたことに損保会社からは「支払不能」の回答が。
普通に考えれば、保険金が降りそうな事故ですが、なぜ保険金がすんなり支払われなかったのでしょうか?損保会社の見解を見てみましょう。
損保会社が保険金を支払わなかった訳
損保会社はAさんの請求を「保険金詐取」と判断したようです。
というのも、Aさんは過去に保険金を累計で3回請求しています。また、今回は事故を起こす20分前にガソリンを満タンにしており、その行為が「バイクが引火しやすいようにわざとガソリンを満タンにしたのだろう」と疑われてしまったそうです。
両足を切断してまで保険金を請求する人なんて、ほとんど居ないと思いますが、保険会社としてはそういう判断を下したんですね。このように「保険金詐取」と決めつけて支払不能通知を送ってくるのが、当時の損保会社の常套手段だったのでしょう。
また、自損事故保険や搭乗者傷害保険は、車両保険と違って「偶然性の立証」を保険金の請求側が行わなければなりません。
偶然性の立証とは・・・簡単に言うと、故意(わざと)に事故を起こした物ではない!という事を当事者が証明しなければならないという意味。
車両保険は偶然性の立証が必要!?2006年最高裁の判例が転機に!
故意じゃないことを証明できないなら「保険金支払わないよー」なんて言われても、困りますよね。
どんな対策を取るべきか?
基本的に損保会社が「保険金詐取」と判断したケースでは、裁判外で交渉しても「支払いません!」の一点張りなので、進展は望めません。従って、被害者側としては裁判に訴えて「偶然性を立証するための努力」をするしか無いでしょう。
今回の場合だったら、以下の様な対策が挙げられます。
- ガソリンを満タンにしたのは、成田空港までの道のりが長いからであって、引火させるための物では無いこと(ガソリンを入れたのは埼玉県)
- わざわざ、友人の出迎えを約束してるのに事故を起こすわけが無いという事(友人に一筆書いてもらう必要は有り)
- 当時走っていた幹線道路は交通量が非常に多い事を、別日に録画して証明する etc
例として挙げましたが、実際に行動に移す時は交通事故に詳しい弁護士に【必ず】相談して下さい。
また、上記の他にも「バイク用のドライブレコーダー」を付けておけば、もっと簡単に偶然性を立証出来たでしょう。特に「犬が突然出てきた」という部分は、他に目撃者が居ない限り証明できませんが、ドライブレコーダーで録画していたら、客観的な証拠となりますからね。
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