【専門家監修】不法行為と共同不法行為

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自動車事故が起きたときに、加害者となってしまった方は事故の後に被害者に対して様々な責任に問われることになります。

法律に基づいて責任を追及されていくのですが、大きく分けてそれは民事責任と刑事責任(参照:交通事故による刑事責任-道交法や過失運転致死傷罪について)に分かれます。

ここでは加害者が負う民事責任について見ていきましょう。

交通事故の場合に加害者が負うこととなる民事責任の根拠は以下の通りです。

  • 不法行為責任
  • 共同不法行為責任

それぞれについて内容を具体的にみていきましょう。

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不法行為責任とは??

まずは「不法行為責任」ですが、これは民法で以下の様に定められています。

民法709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

加害者が不法行為責任を負う事になると、最終的に加害者は被害者に対して損害賠償としてお金を支払う必要があります。

これが自動車事故が起きたときに加害者が払う事になる損害賠償金ですね。

この条文でポイントとなるのは、以下の四つです。

  • ①故意又は過失によること
  • ②権利又は利益が侵害されたこと
  • ③損害が発生したこと
  • ④権利の侵害により損害が発生したこと

4つのポイントについて自動車事故を例に説明をしていきます。

①「故意又は過失によること」とは?

「故意又は過失によること」とは、加害者が被害者に損害を与えた事が「わざと」であったか、「不注意」によるものであった場合です。

例えば道路を走っていて、わざと急ブレーキをかけて後続の車に追突させた場合や、信号を無視してしまった場合には故意又は過失が認められます。

逆に言うと、「わざと」でもなく、「不注意」も全くなかったといういわゆる「無過失」を立証できれば不法行為責任は負う必要はありません。

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②「権利又は利益が侵害されたこと」とは?

「権利又は利益が侵害されたこと」とは、被害者となった方の生命や身体、財産を害した場合を意味しています。

自動車事故の場合は、生命を害するというのは死亡事故を起こした場合、身体を害するというのは交通事故により怪我を負わせてしまった場合、また財産を害するというのは、被害者の自動車やその他所有していた物に危害を加えてしまった場合を指しています。

③「損害が発生したこと」とは?

「損害が発生したこと」とは、実際に加害者の行為によって被害者に損害が発生していることを意味します。

この損害には、身体や財産に損害を与えた場合だけではなく、精神的損害も認められます。

この点については判断が難しく、どこまでが損害となるかは揉めることがあります。

例えば交通事故(人身事故)が起き、そばにいた通行人が目撃し精神的な苦痛を負ってしまった場合に、それは損害にあたるのかという問題です。

また、不法行為責任は最終的に損害をお金で評価する必要があるので、損害はいくらなのかを決めるるのは難しいことですね。

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④「権利の侵害により損害が発生したこと」とは?

「権利の侵害により損害が発生したこと」とは、権利の侵害と損害の発生の間には因果関係があることが必要という意味です。

一例でみてみましょう。

自動車を運転していて人身事故を起こしてしまい、被害者が救急車で病院に搬送されました。

救急車が急いで病院に向かっている時に地震が発生し、救急車の中にあった器具が倒れて頭に怪我を負ってしまった。

という場合、どこまで因果関係を認めますか??

因果関係を広く解釈すると、人身事故が発生していなければ救急車で器具が頭に当たり怪我をすることはなかった、と言えます。

すると、これも因果関係がありますね!と言っていいでしょうか?普通に考えるとこれはちょっと言い過ぎですよね。

この「普通に考える」というのが重要で(法律的には社会通念上と言います。)、不法行為責任を問う場合は、「普通に考えて」因果関係があるよねという範囲に限定して考える必要があります。

これを「相当因果関係」といいます。

後遺障害が残った場合などには、より慎重に因果関係を判断していくことが必要となってきますね。

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共同不法行為とは??

交通事故で加害者が負う事となる民事責任の二つ目として、「共同不法行為」があります。

共同不法行為については民法719条で以下の様に定められています。

第719条
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。共同行為者のうちいずれの者がその損害を加えたかを知ることができないときも、同様とする。

交通事故が起きたときに加害者が一人だけとは限りません。

実際には以下に挙げるように一つの事故に複数の方が関係していることがあります。

  • 2台の車が衝突事故を起こし、その事故の巻き添えになったときの運転者
  • 無免許者に車を貸し、事故が起きたときの無免許者と免許を貸した人
  • 飲酒による事故で車を運転することを知りながら、酒をすすめた同乗者と運転者。
  • 交通事故治療を受け、医療過誤で傷が悪化した場合の運転手と医師⇒詳細はこちらの記事で

以上のように、不法行為が起きた時に、加害者が複数いたような場合に「共同不法行為」といいます。

このとき加害者は連帯して損害を賠償する責任を負う事になります(連帯責任)。

共同不法行為責任を問われると、もう一人の加害者の方が過失が大きいからそちらから損害賠償金を受け取ってくれ!と主張する人もいますが、連帯責任ですので被害者から請求されたら支払う義務があります。

(その代わりに、一方の加害者が全額賠償するともう一方の加害者の賠償責任も消滅します)

実際に運転していたのは運転者なので加害者は運転手だけだと思っていると、思わぬ責任を負担しなければならないことになるので注意が必要ですね。

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異時共同不法行為って??

上記で説明したのは、共同不法行為の中でも同時期に不法行為が発生した場合です。

中には以下のように少し時期が開いて発生する共同不法行為もあります。

交通事故に遭遇し足を怪我し、その怪我の治療中にまた事故に遭い、 足の同じ部分を怪我し悪化させてしまった場合

このように異なる時期に二つの事故で同じ箇所を負傷した場合のような共同不法行為を「異時共同不法行為」といいます。

この場合は、二つの事故は関連性が全くないので加害者同士は連帯責任は負いません。

2回目の事故のが起きた時点で最初の事故の加害者からの賠償は打ち切りになります。

その後の賠償は2回目の事故の加害者が引き継ぐことになります。

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専門家からのコメント

中村 傑 (Suguru Nakamura)

大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。

中村 傑(Suguru Nakamura) ブログ

保有資格:AFPMBA中古自動車販売士、等

【コメント】

今回の内容は法律上の話となりますので、馴染みの無い方にとっては少々難しい内容だと思います。しかしながら、自動車の事故における示談交渉というのは、裁判における訴訟の考え方と同じであるので、この辺りを正しく理解しておく必要があります。

この辺りで重要な考えの一つに、「立証主義」があります。

ざっくりと説明すると、立証(証明)する責任は、訴える側にある、という事です。例えばですが、信号交差点内においてあなたが直進車、相手方が信号無視にて交差点に侵入し、事故が発生したとします。この場合、相手が信号無視を認めれば相手側の過失は10割となります。しかしながら、認めない場合においては、極めて理不尽ですが、相手方の信号無視を何らかの方法により立証する必要があります。これが立証主義です。

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