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【専門家監修】保険会社の示談代行は非弁行為(弁護士法違反)に該当するか否か

この記事を読むのに必要な時間は約 9 分です。

現在、示談代行サービスは自動車保険の重要なサービスの一つとして保険契約者にとって欠かせないサービスになっています。

しかし、この示談代行サービスですが昔はある問題点の為に認められていませんでした。

その問題点とは【保険会社が行う示談代行が弁護士法に抵触するという点】です。

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示談代行と弁護士法

弁護士法第72条に以下のような規定があり、弁護士以外の者が法律事務を行う事を禁止しています。

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条  弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。

ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

この法律の構成要件は「弁護士以外の者」「報酬を得る目的」「他人の」「法律事務」「業として」の5つと考えられています。

上記の構成要件に保険会社が行う示談代行を当てはめていくと、保険会社は弁護士ではなく、示談代行サービスを保険に付けて販売する事から報酬を得る目的があり業として行われる事が明らか、そして示談代行が法律事務に該当する事から弁護士法72条に抵触する可能性は極めて高いことになります。

また「他人」に関してですが、被害者直接請求権が認められていなかった昔の自動車保険の場合では、被害者に保険金を支払う利害関係は有るものの、直ちに被害者と被保険者の法律関係を被害者と保険会社の法律関係と見ることは出来ないとされて、保険会社の示談代行は非弁行為に該当する疑いが強いとされていました。

しかし、現在保険会社による示談代行が認められているのは保険会社と日弁連が協議を行い、対人賠償・対物賠償において次に紹介する意見調整・措置を取ったからです。

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対人賠償における示談代行が認められるための措置

対人賠償において、他人性の払拭そして被害者救済を図るために以下のような措置が取られ保険会社が示談代行をする事が可能になりました。

  • 示談代行は保険会社の社員が行う
  • 被害者直接請求権の導入
  • 保険金・損害賠償額の支払い基準の作成
  • 示談交渉の紛争解決のための第三者機関の設置 *1
  • 1事故の保険金額の制限の撤廃 *2

*1 第三者機関には、交通事故紛争処理センター日弁連交通事故相談センターがあります。
*2 1つの事故で支払う賠償金額の合計に制限が設けられていました。

対物賠償における示談代行が認められるための措置

対物賠償の示談代行は、対人賠償の問題点に加え、「アジャスター」という物損事故調査員の存在をどうするのかが問題になりました。

なぜなら、アジャスターとは保険会社とは別法人に雇用された物損事故の調査をする専門家の事を言い、「別法人」というのが弁護士法72条の構成要件である「他人性」に該当するからです。

そのため、日弁連はアジャスターの対物賠償の示談代行への関与の仕方を明確にする協定書を作成しこれに従う限りは非弁行為に該当しないとしました。

その主な内容は以下の通りです。

  • 対物賠償に関しては弁護士に委任する事
  • アジャスターは、弁護士の物損事故処理の補助として配置する事
  • アジャスターは弁護士の指示に従い、事故の調査をし示談案を提示する事
  • アジャスターは弁護士に事故調査・示談等の経過報告をする事
  • アジャスターは事故調査・示談等の経過及び結果を書面にし、弁護士はこれに署名・押印する事 等

このように、対物賠償の示談代行は形式的に弁護士を介するようにして、非弁行為とならないような制度設計となっています。

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保険会社が示談代行を行えないケース

以上のように対人・対物事故において保険会社による示談交渉サービスが可能となっていますが、示談代行が行えないケースも存在します。

それは、被保険者の過失が0%となる以下のような事故のケースです。

  • 駐・停車中に追突された場合
  • 相手がセンターラインオーバーをした場合
  • こちらが青信号で相手が赤信号を無視をした場合 等

このような事故では、被害者の保険会社は損害賠償金を加害者に支払う責任が一切ありません(人身傷害保険や車両保険などの保険金を被保険者に支払う責任はあります)。

そのため、弁護士法72条の他人性を払拭するための「被害者直接請求権」は利用されないため、被害者と加害者の法律関係において保険会社は他人となってしまうので、こういった事故で示談代行をすると非弁行為となってしまうので示談代行は行う事が出来ないのです。

つまり、このような事故に遭遇した場合、示談交渉は自分で行わなければなりません。

示談の知識も無い、示談を開始する時期も分からないというのが一般的だと思いますが、弁護士費用特約を付けていればこのようなケースでも示談交渉の依頼費用を始め法律相談や訴訟費用も補償してくれます。

保険会社の示談代行サービスは非弁行為とはならないというのが今回の記事で伝えたかった事ですが、例外的に示談代行サービスを行えない場合もあるので不測の事態に備えて「弁護士費用特約」の付帯を考えてみてはいかがでしょうか?

専門家からのコメント

中村 傑 (Suguru Nakamura)

大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。(中村 傑(Suguru Nakamura) ブログ

  • コメント

こちらの記事に関して、実務面から補足させて頂きます。

非弁行為に限らず、日本の法律において、士業の方の業務範囲は法律の範囲で定められており、無資格者が士業の業務領域に踏み込むと法律違反となります。私がこの補足記事を書かせているタイミングで、退職代行のモームリが非弁行為により警察の取り調べを受けた事は記憶に明るいです。

単純に言えば、非弁行為とは、弁護士資格の無い物が訴訟、和解、調停といった弁護士の業務を行い、報酬を得る事を違法行為としています。

ただ実際の所、交通事故においては、記事に記載の通り保険会社が示談代行をしてくれますので、弁護士費用特約が付帯されていなくても、実務的に本当に困る事は少ないと思います。(過失割合に納得できるかどうかは、別の話として)

しかしながら、保険会社が示談代行出来るのは、自動車保険の交通事故に限られており、それ以外の分野では示談代行が出来ません。例えば、法人(中小企業)が契約する賠償責任保険で事故が発生したとしても、保険会社が示談代行を行う事は非弁行為に該当する為、契約者が自ら示談交渉を行う必要があります。

法律に精通している人が社内にいる、もしくは、経営者が法律に明るい方であれば、何とか対処できるかもしれませんが、そういうケースはあまり多くないと思いますので、やはり弁護士費用特約は必要な補償だと考えます。

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