人身傷害補償保険の損害金額計算例と加害者の保険との関係

(この記事は約 4 分で読めます。)

任意保険の「人身傷害補償保険」に加入している場合に、どのように損害額は計算されるのか?

「被害者が人身傷害保険から受取る保険金」「加害者が加入している自賠責保険・任意保険から受け取る保険金」は、どのような関係にあるのかについて見ていきたいと思います。

なお、このページではセゾン自動車火災保険の保険約款を元に、損害額の算定を行っています。

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人身傷害保険の損害額計算方法

■傷害を負った場合■

損害額=治療費+休業損害+慰謝料(精神的損害)

■後遺障害の場合■

損害額=逸失利益+慰謝料+将来の介護料
逸失利益=収入額×労働能力喪失率×対応するライプニッツ係数

■死亡の場合■

損害額=逸失利益+慰謝料+葬儀費
逸失利益=(収入額-生活費)×対応するライプニッツ係数

生活費に関しては、被扶養者の数に応じて以下の数値を当てはめることになります。

被扶養者の数生活費
0人50%
1人40%
2人35%
3人以上30%

具体的に計算してみました

事案Ⅰ-■40才男性サラリーマンが死亡したケース■

年収650万円、被扶養者4人の場合

(1)逸失利益
650万円×(1-0.3)×14.643=6,662万5,650円

14.643は40歳男性のライプニッツ係数です。

(2)慰謝料
精神的損害としての慰謝料は2,000万円

被害者の区分慰謝料の金額
被保険者が一家の柱である場合2,000万円
被保険者の年齢が65才以上1,500万円
上記以外の場合600万円

(3)葬儀費
葬儀費は60万円

60万円を超える事が立証資料等で明らかにできれば、セゾン自動車火災保険では100万円まで補償されます。

損害額は、6,662万5,650円+2,000万円+60万円=8,722万5,650円となります。

事案Ⅱ-■30才既婚男性サラリーマンが要介護の後遺障害を負ったケース■

年収400万円、随時介護が必要な第2級の後遺障害の場合

(1)逸失利益
400万円×100%×16.711=6,684万4,000円

16.711は30代男性のライプニッツ係数です。

(2)慰謝料
1,500万円

(3)将来の介護料
7.5万円×12×18.169=1,635万2,100円

18.169はこの場合のライプニッツ係数です。

区分介護料
介護を要する後遺障害第1級月15万円
介護を要する後遺障害第2級または後遺障害第1,2級または第3級の③か④に該当かつ、介護が必要な場合月7.5万円

損害額は、6,684万4,000円+1,500万円+1,635万2,100円=9,819万6,100円となります。

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加害者の契約している保険との関係

これまでは、人身傷害補償保険で損害額がどのように計算されるかについて見てきました。

ここからは、加害者が加入している自賠責保険と任意保険から出る保険金との関係について、見ていきたいと思います。

ポイント

・人身傷害補償保険の契約金額
・相手の対人賠償保険の計算額と設定金額

ポイントとしても書きましたが、「加害者側任意保険(対人賠償保険)の算定基準で計算した結果」と「上記被害者側の人身傷害補償保険の算定基準での損害額」が同じになるとは限りません。

ですので、「加害者側対人賠償保険で計算した損害額」が「被害者側人身傷害補償保険で計算した金額」より上か下かで、保険金の収受関係が変わってきます。

「事案Ⅰ-損害額8,722万5,650円の場合」を元に実際に計算

パターン1-■相手が対人賠償保険に加入していないか免責により対人賠償保険が機能しない場合■

このようなパターンでは自賠責保険とこちらの人身傷害補償保険で損害額を回収し、もし回収できない金額があれば加害者本人に直接請求することになります。

補償額の内訳は自賠責保険が3,000万円、残額の5,722万5,650円を人身傷害補償保険から回収することになりますが、残額部分に関しては契約金額次第となってしまいます。

契約金額が1億円なら損害額を全額回収できますが、契約金額が5,000万円なら722万5,650円を加害者に直接請求する事になります。

パターン2-■相手の任意保険会社の対人賠償保険の算定基準での損害額が7,000万円となった場合■

この場合には相手の自賠責保険と対人賠償保険から損害額を回収し、損害額の違いによって相手から回収できなかった不足分を人身傷害補償保険から回収することになります。

補償額の内訳は自賠責保険から3,000万円を回収、次に相手の対人賠償保険から4,000万円を回収し、残額の1,722万5,650円を人身傷害補償保険から回収することになります。

人身傷害補償保険に加入していなければ、残額の1,722万5,650円は自己負担となってしまいます。

パターン2に過失割合を考慮してみましょう。

パターン2β-■相手の任意保険会社の対人賠償保険の算定基準での損害額が7,000万円となった場合で、被害者の過失割合が30%の場合■

この場合は相手の過失相当分を相手の保険から回収し、こちらの過失相当分と保険会社の計算基準が違うことによって生まれた不足分を人身傷害補償保険から回収する事になります。

補償額の内訳は過失相殺により7,000万円×0.3=2,100万円が自己負担になります。

残りの4.900万円を加害者が負担します。

その内訳は自賠責保険が3,000万円、対人賠償保険が1,900万円となります。

人身傷害補償保険の損害額は8,722万5,650円ですので、相手からの補償額4,900万円を差し引いた残額3,822万5,650円を人身傷害補償保険から回収することになります。

人身傷害補償保険の契約金額が5,000万円以上なら損害額全額を回収出来ますが、3,000万円以下または未加入の場合には、回収不能額が発生してしまいます。

パターン3-■相手の対人賠償保険での損害額が1億円だった場合■

この場合には相手の自賠責保険と対人賠償保険から1億円回収する事になります。

ただ示談が長くなったりした場合など、当面の治療費が必要にな時は示談成立前に人身傷害補償保険から8,722万5,650円を受け取る事もできます。

ただしこの場合には、相手から受け取れる保険金は1,277万4,350円です。

二重(人身傷害補償保険から9,000万円、加害者から1億円)で保険金を受け取る事はできません。

人身傷害補償保険に加入していれば、過失相殺された分も補償されますし、相手の保険会社が算定した損害額がこちらの保険会社の計算した損害額より少なくても、不足分が補償されるので自己負担する金額が少なくなります。

また、示談成立前でも受け取れるので、契約者にとってはありがたい保険です。

必ず加入しておきましょう。

 

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