自動車保険見直しガイド
地震で倒壊したビルの下敷きになっている車

地震や噴火、そしてそれに伴う津波によって、大切な自動車が損害を受けてしまった場合、車両保険で補償されるのでしょうか?

答えは「No」です。たとえエコノミータイプではない「オールリスク対応」の車両保険に加入していたとしても、「地震・噴火・津波」による車両損害は補償されません。

このような災害時の車両損害リスクに対応するためには、主として大手代理店型の損保が販売している「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」に加入する必要が有ります。

東日本大震災時においては、経済的理由から、生活の足として欠かせない車を入手できない被災者が続出した事を考えれば、加入を検討する必要がある商品と言えます。

「地震・噴火・津波」車両全損時一時金特約を採用している自動車保険会社

現時点で、「地震や噴火・津波に対応した特約」を販売している自動車保険会社は以下の通りです。

(最終更新日:2017年5月9日)

保険会社補償金額
あいおいニッセイ同和損保50万円
東京海上50万円
マイカー共済50万円
チューリッヒ50万円
アクサダイレクト50万円
共栄火災50万円
AIU保険50万円
三井住友海上50万円
損保ジャパン日本興亜50万円
朝日火災車両保険金額(*1)
エース保険50万円
日新火災50万円
JA共済50万円

ダイレクト型で採用しているのは「チューリッヒ・アクサダイレクト」だけとなっています。大手代理店型の損保は、東日本大震災以降にキッチリとこの特約を販売するようになったので、その辺りは流石と言うべきでしょうか。

加入条件

「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」を付帯するためには”車両保険”に加入する必要があります。

また、保険会社によって若干の違いは有るものの、基本的に「オールリスク型の車両保険(一般的な車両保険)」に加入していないと、付帯出来ません。

補償金額

壊れた車に持たれるドルマーク

上の表をご覧頂ければ分かるように、ほぼ全ての保険会社で「補償金額は上限50万円」と設定されています。加えて、車両価額がそもそも50万円未満と判断されると、保険金も減額される点に注意が必要です。

しかも、保険金が支払われるのは「車両が全損した時」に限定されます。

*1 現時点では、朝日火災とチャブ保険だけが補償金額を車両保険金額までに設定しています。また、車両が全損でなくても保険金が降りるというメリットも有ります。

この特約の全損の定義は、車両保険における全損の定義とは異なります。

両者の全損の定義の違いを簡単にまとめたのが以下の表です。

地震・噴火・津波車両全損時一時金特約車両保険
車の修理が不能車の修理が不能
車が津波に流されて発見されなかった場合車が盗難されて発見されなかった場合
運転者席の座面を超える浸水修理費用が車両保険の設定金額以上の場合
ルーフ・ピラー・ガラスの損傷 等々

その他にも全損に該当する損傷がいくつか有るので、「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約の全損の定義(チューリッヒ)」で確認しておきましょう。

大事な事は「この特約では分損時には補償されない」という点です。この点はしっかりと把握しておいてくださいね。

「地震・噴火・津波」車両全損時一時金特約の必要性について

自動車保険の特約で「地震や噴火、津波」の際に車両の損害を補償してくれる商品は、この商品以外に有りません。ですので、普通であれば「必ず加入しておきたい保険」になるはずですが、問題点が有ります。

車のトラブル

その問題点とは、ほぼ全ての保険会社が補償金額の上限を50万円と設定している点です。各保険会社は50万円有れば、「中古車なら購入可能。新車でも頭金になる」という説明をしていますが、やはり50万円程度の補償金額では心もとないですよね。

特に、「新車を購入した直後に地震や津波が起きたらどうすればいいの?」と考える人も多いのではないでしょうか。現金一括払いで新車を購入しているなら問題ないのかもしれませんが、ほとんどの人は、ローンを組んで新車を購入しますよね。

そうなってくると、残債部分の返済だけでも大変です。たとえこの特約で50万円の保険金が支払われても、残債部分の返済が有るので、新たに車を購入するという選択肢を取れる人は少数派でしょう。

災害

そう考えると「この地震・噴火・津波車両全損時一時金特約だけでは心もとない」と思いませんか?

被災地では公共交通機関が麻痺してしまう事が多いので、生活の足として車は必須になってくるはずです。やはり、不足の無い備えはしておきたいところですよね。

自動車保険の特約だと不安だな・・・と感じるなら、「火災保険」で地震等に備えるのも1つの方法です。車に関する損害だからといって、自動車保険で備える必要は有りませんよ。

自然災害は車両保険ではなく火災保険で対応するのも有り

【補足】実は「地震等」車両全損時一時金特約は劣化した特約!

補足です。実は、「地震等」車両全損時一時金特約は“補償の縮小”が行われた結果として出来た特約なのです!

保険金で車を買うイメージ

というのも、大震災以前は地震・噴火・津波「車両損害」特約という商品が販売されていたからです。この特約は、補償金額が車両保険金額までに設定され分損時も保険金が支払われる特約です。

そのため、地震・噴火・津波などの自然災害が発生した場合には、一時に、しかも膨大な保険金の支払いが発生する特約でした。契約者としては有り難い特約なのですが、保険会社としてはリスクの大きい商品だったんですね。

そこで、各保険会社はリスクを回避するために、地震・噴火・津波「車両損害」特約の販売を中止し、補償内容を限定した「地震・噴火・津波車両全損時一時金特約」の販売を開始したのです。

なお、三井住友海上や損保ジャパンなどの一部の保険会社では、補償範囲の広い地震・噴火・津波「車両損害」特約の販売を継続していますが、以前から付帯していた契約者のみが対象となっていて、新規契約で付帯する事は基本的に出来ません。

まとめ~保険料とリスクのバランスを考えよう~

「地震・噴火・津波」車両全損時一時金特約の保険料は、各社横並びで年間5千円と設定されている事が多いです。10年なら5万円の費用がかかります。

50万円が上限の特約に対して、毎年5千円を支払う価値が有るのか?

また、自分が住んでいる地域の災害リスクの高低も踏まえて、加入を検討する必要が有るでしょう。

地震リスクを予想して加入を検討するのも有り

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