この記事を読むのに必要な時間は約 7 分です。
自動車保険の保険料は等級によって大きく変わります。
6等級(F)の割引率が19%であるのに対して、20等級の割引率は63%で、その差は44%。
仮に基本保険料が10万円だと仮定すると、20等級の人の保険料は3.7万円で済みますが、6等級(F)の人の保険料は8.1万円も支払う必要が有ります。
多くの人が、早く20等級になりたい!と考えるのも頷けます。
この記事では、自動車保険の等級の上がり方・下がり方について解説していきます。
自動車保険の等級の上がり方~1年で1等級しか上がりません。
自動車保険の等級は1年間無事故(*1)でいると、翌年度の保険契約から1等級上がります。
等級ランクは1等級~20等級の20ランクに分けられており、初めて保険を契約する人は6等級からスタートします。
便宜上「無事故」と書いていますが、例え事故を起こしたとしても、任意保険から保険金の支払が行われなければ等級は下がりません。
保険金の支払額が自賠責保険の範囲内に収まる場合も同様です。
更に、事故で保険金が支払われたとしても、それが「ノーカウント事故」に起因して支払われる保険金であれば等級は下がらず、他に事故が無ければ翌年度の等級は1等級進みます。
で、自動車保険の等級の上がり方としては、「1年間無事故で1等級上がる」、これ以外に有りません。
制度が変わらない限り、1年で2等級アップしたり3等級アップすることは、あり得ません。
等級が下がる時は一気に3等級ダウンするのが基本であることを考えると、なぜ1等級しか上がらないのか?と不満を感じてしまいますが、等級制度の趣旨が「事故を起こした人にペナルティーを与える」という趣旨なので、こういう仕組みになっています。
効率的な等級の上げ方
効率的な等級の上げ方は「安全運転で、地道に毎年1等級ずつ進めていくこと」以外に有りません。
但し、家族が既に自動車保険を契約している場合には、いきなり20等級からスタートすることも可能です。
詳細は下記記事を御覧ください。
等級の下がり方
等級が下がり方には「2つの種類」が有ります。
一応、大まかな区分だけ書いておきます。
■3等級ダウン事故
おおまかに言うと、「対人賠償保険・対物賠償保険・自損事故保険・自然災害に起因しない車両保険(*1)」を利用するような事故を起こすと、3等級ダウン事故と判断されます。
*1 自然災害に起因しない車両事故以外にも、盗難・当て逃げが原因で車両保険を使っても3等級ダウンです。
■1等級ダウン事故
1等級ダウン事故は「自然災害に起因して利用した車両保険」「被保険者に故意・過失が無くて車両保険を使わざるを得ない場合」などが該当します。
基本的に、私達が「これは事故だ!」と想像するような事故を起こして、保険金が支払われると3等級ダウン事故になると考えて良いでしょう。
なお、等級ダウン事故を起こしても保険を使わなければ等級は下がらないので、保険料の事を考えると、使うか否かの見極めも重要です。
1事故で複数の保険を使った場合の等級の下がり方
車対車の事故を起こすと、相手のケガを治すために「対人賠償保険」を使いますし、相手の車を直すために「対物賠償保険」を使います。
自分の車を直すには「車両保険」も使わなくてはいけません。
このように1事故で複数の保険を使わざるを得ない時、等級の下がり方はどのように計算されるのでしょうか?それぞれが3等級ダウン事故だから、合計で9等級ダウンする?
いえ、そんな事は有りません。
等級がダウンする時は1事故あたりで計算するので、複数の保険を使ったとしても3等級ダウンです。
要は、原因が同じなら一括りにして判断しますよ、という事ですね。反対に、保険を使った原因が別の物なら合算されて下がります。
FP(専門家)からのコメント
中村 傑 (Suguru Nakamura)
大垣共立銀行を退職後、東京海上日動火災保険に代理店研修生として入社。研修期間を経て、2015年に独立開業。2020年に株式会社として法人成り、現在に至る。家業が自動車販売業であり事業承継者でもある。車と保険の両方の業務を兼務しており、専門領域が広い事が強み。
コメント
記事に書かれている通り、等級の進み方は、熟練ドライバー、ペーパードライバー、初心者ドライバー、契約者の属性に関係なく平等で、1年につき1等級しか進行しません。
事故を起こさない運転を日々意識して積み重ねる以外に方法はありません。
近年では、保険会社が特約により貸与するドライブレコーダーが普及しています。当社の契約者の中でも、保険会社の貸与型のドライブレコーダーを取り付ける方が増えてきました。保険会社の中では、運転の特性や傾向を分析しレポートを作成したり、点数を付けたりします。
自分の安全運転の特性を評価してもらう機会はありませんので、運転に自信が無い方は保険会社の貸与型ドライブレコーダーを利用するのも一つだと考えます。
関連記事をチェックする